1.政権交代論

より警戒すべきは、ポピュリズム政党ではなく、自民党

ヨーロッパでは、第1、2党の右に右翼的ポピュリズム政党、左に共産党が改称した政党や、数は少ないが左翼ポピュリズム政党が位置し、それらが第1、2党に不満を持つ人々をある程度引き付け、2ブロック制(保守の大政党を中心としたブロックと、左派の大政党を中心としたブロック)から、4極構造へと変わりつつあるように見える(一時的なことかもしれないが。『政権交代論~内なる病、1党優位~』「政権交代が起こる時」参照)。

日本はどうだろうか。かつては自民党と民主党の2大政党制になるかに見えた(あるいは短期間だけだが、なっていた)。しかし今は自民党・公明党と、民主党系・共産党の2ブロックのように見える(維新の会は第3極ともし得るが、議席数は比較的少なく、自民党のブロックに含めて見ても違和感はない)。しかし、右から維新の会、自民党、民主系、共産党と捉えることもできる(維新の会全体が、伝統重視という面で最も右だというのは無理があるかも知れないが)。もしNHKから国民を守る党がさらに支持を広げ、単独で大きくなるか、維新の会と組むようなことがあれば(現状なさそうだが)、ヨーロッパの右翼的ポピュリズム政党に該当するものになるということも、考えられなくはない(N国は直接民主主義を志向しているが、これは進歩的であるという点では左だが、歴史的には、独裁者が支持を得るのに国民投票を活用したということもある)。れいわ新撰組は間違いなく左の、ポピュリズム政党である。単独で大きくなるか、現時点で最も近いと思われる共産党と組めば、ヨーロッパの最も左の極に該当するものとなり得る。

しかし、本格的な4極構造にはならないと、筆者は見ている。ヨーロッパの例で言えば、左右両極は反グローバリズムなのだが、EU問題のようなものがない日本とは、そもそも事情が異なる。N国は分からないが、維新の会はグローバル化に積極的である。かつてのたちあがれ日本の流れが成功せず、消滅した今となっては、最も右の極を反グローバリズム政党が形成するという可能性は非常に低い。

そもそも、問題は1党優位の状況である。どのような政党がいくつ存在しようが、それらがどれくらいの議席を持っていようが、優位政党が存在すれば、それは1党優位制であり、他の政党が大きな影響力を持つことはないのだ。ポピュリズム政党は他国でも、主に左派の大政党の票を削ってはいる。しかし日本では、それを通り越して、右派の大政党である自民党に、有利にまでなっている(自民党が漁夫の利を得ている面が大きい)。小選挙区制中心の選挙制度が要因であるが、自民党は優位政党であるからこそ、これほどまでに、選挙制度の恩恵に与れるのである。

そのような状態であるから、れいわとN国の政策の実現も、あと少しというところまでいくことはあるかもしれないが、きちんと実現することはとてもできない。自らと近い陣営に付いて、まずは状況を変えなければならない(そういう意味では、野党の陣営を何かしらの形で強くしなければいけないのだが)。そもそも、両党が取り組んでいる問題の背景にも、1党優位の弊害が多少なりともあると考えられる。政治の世界に本格的な競争が事実上ほとんどなく、癒着構造があるのだから。

もちろん、政権交代がある国でも、大政党が国営放送(に近い放送局)と癒着していたりすることはあるだろう。しかし日本の場合は、1党優位制を、それこそ「ぶっこわす」ことで、政党間の競争が活発になり、政権交代が定着し、長期的には政治の質が上がると、筆者は考えている。戦前の、政権交代のあった政党内閣期のように、足の引っ張り合いが激しくなると言う人もいる。しかし野党が選挙では勝てないからこそ、与党のスキャンダルにすがるという面も、ある。何よりも、競争がある方が、腐敗しにくいのは間違いない。今回議席を得たれいわとN国には、このことを重視してもらいたい(れいはにとっては、釈迦に説法だろうが)。