日本人はなぜ政権を選び取ることができないのか、考え、論じる
 
第3極・実業派の動き(⑪)~日吉倶楽部と選挙制度、鉄道~

第3極・実業派の動き(⑪)~日吉倶楽部と選挙制度、鉄道~

選挙制度の改正について日吉倶楽部は、市部を独立した選挙区とすることは叶ったものの、否定的であった大選挙区制への改正を許した(田口が日吉倶楽部の議員達の同意を得て提出した選挙法の改正案については、『鼎軒田口卯吉全集』第5巻452~453頁)。なお、日吉倶楽部の前身とも言える山下倶楽部は、第4次伊藤内閣の、大選挙区制を基本とし、市部を独立した選挙区とする選挙法の改正案を支持していた(1898年5月27日付読売新聞)。日吉倶楽部は憲政本党と同様に、鉄道国有化には否定的であった。これを求める建議案については、同党と共に反対しているが、145対127で可決を許している(建議案の採決は記名投票ではなかったが、その前の討論終結の動議は記名投票であった。採決では基本的に、鉄道国有化の建議案に賛成の議員達が賛成票を、反対の議員達が反対票を投じた。これは143対130、つまり国有化の建議案とほぼ同数(違いは3票以下)で可決されている。『帝國議會衆議院議事速記録』一四359~360頁の賛成者、反対者の一覧を見ると、当時の日吉倶楽部11名中2名(中村栄助、原田赳城)が賛成、8名が反対、1名が欠席、または投票を棄権している。11名には含まれていない田口卯吉も反対に投じている。なお、議員同志倶楽部に参加する議員達、中立倶楽部の結成に参加する議員達を見ても、反対に投じているものが多い(賛成は、議員同志倶楽部に参加する佐藤里治、岡野寛、他に、後に日吉俱楽部に参加する板東勘五郎、北田豊三郎)。

 

 

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