1.政権交代論

1党優位の傾向(③⑥⑦)~連携相手に関する優位勢力内の亀裂~

優位政党(この場合は政党ではなく薩長閥)内に深刻な亀裂が生じた時、そのどちらと組むのか、協力していた野党間、あるいは1つの野党内(特に野党第1党)に亀裂が走ることがある。例えば1997~98年当時は、自由民主党内が、日本社会党との連立継続の是非について割れていた。民主党は肯定的な勢力と、新進党(分裂後は自由党)は否定的な勢力と近かった。与野党の縦断的な協力や再編が政権維持に有効である場合には、その成否が、内部の優位勢力を決定することになる。例えば、特に参議院で過半数を割ることが多くなった自由民主党では、日本社会党との連立、公明党との連立を成功させた議員達が、党の主導権を握った(その中でも脱落者はいたが)。この当時もそうであった。つまり薩長閥の一体性が高いとはいえない状況下、長州閥伊藤系は自由党の土佐派や関東の星系と接近し、薩摩閥は関東の大井系と接近、前者が成功を収め、薩長閥政府では伊藤系が、民党では自由党が優位に立った。その後薩摩閥は、自由党の劣位に立った改進党系、大井らの東洋自由党系を含む自由党離党者と、いわば「弱者連合」を形成するが、勝負は決しており、それらは一過性のものに終わる。やがて薩摩閥は、大正政変によって従来の政界縦断が動揺したすきをついて、自由党系と、同党に有利な条件で提携をし、第1次山本権兵衛内閣を形成するのである(第11章で見る)。