1.政権交代論

1党優位の傾向(⑥他)~3大勢力の特色における問題点~

1905年12月30日付萬朝報によれば、井上角五郎は、大同倶楽部の懇親会において、政友会はげんこつ、進歩党は演説遣い、大同倶楽部は実業を基礎にする団体だから前途洋洋だとした。これは現在と類似性がある。優位政党である第1党は力を持っている(その背景には、現実的に自らに有利な機会を求め、有利な選択をする性格がある)。それに対抗しようとする政党は、演説がうまいかどうかは別として、理想を語って人々を引き付けようとする。そして第3極は、これらの大政党がすくいきれない民意の期待を得る。この構造は基本であるように見えるが、欧米はそうではない。少なくとも第1、2党は「げんこつ」と「演説」をある程度しっかりと両立させ、その上で、政策の差異をもって争うべきものである。井上の例えるような状況が、完全に固定化されていることは問題なのである。第3極だけは、時代と共に比較的に大きく変化しており、それ自体は良いのだが、井上が述べているような構造であっては、それは生かされにくいし、勢力の拡大も難しいのである。