1.政権交代論

1列の関係・1党優位制(⑩)~政権を得た野党による増税~

原は山県-桂系が政友会内閣に増税を押し付け、その後政権を奪うということを恐れていたようである(註)。帝国議会開設前はもちろん、その後も、薩長閥は優位政党のような存在であった。それに衆議院での優位政党であった自由党系が挑戦したわけだが、この自由党系を、現在の野党第1党と重ねると、日本の政治の問題点が顕わになる。長く野党であった政党が、政権を握ると増税をするという点で、類似性があるのだ。これは、有権者に本来期待されていた役割とは異なる。当時の立憲政友会は、度々政権を握ることによって、利益誘導政治をしてくれると、与党として期待されることで、増税によるマイナス面をカバーすることができた。この点は異なる。冷戦終結後は本当に、第2党であった政党が政権を得ても、増税、しかも弱者に厳しい消費税の増税だけをやって、優位政党に政権を返しているようなものだ。

註:『原敬日記』第3巻115頁(1907年11月6日付)、132頁(同12月10日付)、136頁(同12月15日付)、154頁(1908年1月23日付)、158~159頁(同2月1、2日付)等を合わせて見れば、山県が増税を求め、大同倶楽部が野党色を強め、内閣不信任案まで提出したのだから、原の危機感をよく理解することができる。増税案に賛成した後に内閣総辞職となり、山県-桂系の内閣が成立した上で、総選挙が行われれば、立憲政友会の候補者たちは増税をした、野党の候補ということになり、著しく不利になると原は考えていた。