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2012年に実現しなかった地方分権連合の、チャンス再来?

首長ブームは夏にはだいぶ落ち着いたが、立憲民主党が最も強い地域だと言える北海道でも、知事が注目された。その北海道知事はしかし、民主党系ではない。自民、公明、大地の推薦を得て、左派野党推薦の候補(元民主党衆議院議員)を破り、当選している。

2012年に筆者は、地方分権連合が可能なのではないかと考えたことがあった(『政権交代論』「2012年総選挙、自民でも民主でもない地方分権派勝利の夢」参照)。北海道の新党大地、岩手県を固めており、反TPPの立場からもその支持を近隣、あるいは山田正彦元農水大臣(反TPP・脱原発・消費増税凍結を実現する党)の九州に広げる可能性のあった国民の生活が第一の小沢一郎(この「反TPP・脱原発・消費増税凍結を実現する党」や減税日本と合流して日本未来の党になったが、その後分裂)、東京の石原都知事(たちあがれ日本の後見役であり、後継の太陽の党を率いて維新の会に合流)、関東地方で比較的強いと見られたみんなの党(要人の渡辺喜美が北関東、浅尾慶一郎、江田憲司が南関東)、名古屋の減税日本、大阪の維新の会、沖縄の社会大衆党、そして中国地方には大物の郵政民営化反対派(国民新党を結成した亀井静香、たちあがれ日本を結成した平沼武夫)、四国の高知県の知事を務めていて、以前に国政進出、新党結成がうわさされた橋本大二郎、というように、各地に強い地域政党、政治家が存在した。彼らが地方分権で手を組めば、当時壊滅の危機にあった民主党も、さらには自民党をも抑えて、第1党になり得るのではないかと考えたのだ。これらの間には差異があったが、分権(国会で過半数を占める保守の大政党、つまり自民党を弱めることになるかも知れない)、道州制、地域間格差のある程度の是正について、なんとか一致できると考えたのだ。しかし結局、これらの多くどころか、政策が非常に近かった維新の会とみんなの党すらまとまらず、自民党対民主党という構図は変わらなかった。

筆者は、このような連合の実現を願っていたというよりは、民主党がボロボロになる中、自民党1党優位の復活(長期的に見れば維持)を警戒し、第1党の地位を維持することはとてもできないと見られていた民主党をおびやかす第3極を見て、また、既存の第1、2党の行動力のなさに危機感も覚えて、「分権連合」を次善の策だと考えていた。

今、それの実現とまでは言えなくても、分権連合への期待が高まる可能性はある。それは、より維新の会を中心としたものになるであろうが、今度はそれが民主党系と最低限の一致点を見出し、自民党の中央集権、国が上から何でもやり、不要なことにまでカネと口を出すような、バラマキ政治に対峙できる態勢をつくり、やがて理念を軸とした再編を実現させる。そんな歩みを見せてくれないかと、あまりに1強多弱が過ぎる状況を前に、つい考えてしまう。

2017年、それにやや似た状況になりかけた。小池ブームである。東京(小池系)、愛知(大村府知事系か河村名古屋市長系、あるいはその双方)、大阪(維新)の連合が形成されかけた時である。前原民進党代表が、小池の希望の党への合流を決めたのだから、小池が民主党系の、少なくとも一部を吸収する可能性はあったと言える。しかしこれは、左派を排除する発言によって小池ブームが失速したこと、愛知が脱落し、小池と維新も決して良い関係ではなかったことから、消滅した。

なお、愛知・名古屋が脱落した背景は次の通りである。大村愛知県知事は、県政における主要政党との関係を悪化させることができず、希望の党に参加するどころか、応援も断念した。大村県知事とは違って、自民党や民主党系と対立してきた河村名古屋市長は、以前から大村知事と関係が必ずしも良くなかった。

先に河村が当選した(人件費や議員報酬の削減による減税という政策について、民主党内に反対があり、労働組合も反発する中、自らが所属し、推薦も得た民主党の支持基盤であった、連合の推薦を河村は得られなかった)。そして民主党への政権交代を挟んで、河村が立候補を求めており、支持もした大村が当選した(大村は自民党を離党して出馬、自民党が推薦した候補は、その後日本維新の会→維新の党→改革結集の会→民進党→社会保障を立て直す国民会議→立憲民主党衆議院議員の重徳和彦)。大村の当選当初は2人の関係は良かったようだが、すでに大村は河村の減税日本とは別に地域政党をつくっていた(一時は市議会第1党にまでなっていた減税日本以上に振るわなかった)。最近では、愛知トリエンナーレの「表現の不自由展・その後」(内容については省略する)が起こり、反発する河村市長と、擁護する大村知事との関係が決定的に悪化している。河村は民主党政権末期、日本維新の会とたちあがれ日本の合流に参加しようとしたが、維新サイドに拒まれている。しかし現在の維新の会とは、度々組んでいる。

筆者は三都協力の崩壊を歓迎した。「三都」ではあまりに大都市偏重である(大都市が日本全体を引き上げるというのは分かるが、それでも)。そして右に偏り過ぎたものになりそうだった(国会が保守ばかりになってしまう)。大都市偏重であっては、「農村自民vs都市連合」という、理念、政策と関係はあるものの、国内の地域的分断をあおる構図になりかねない。左右の基本のマスターにもつながりにくい。

この三都連合のようなものは、小池都知事と維新の会がなお一定の支持を得ていることから、再浮上する可能性がある(愛知県知事と名古屋市長の一致は現状ではとても無理だが)。だからある程度注意しておかなければいけない。

以前述べたが、筆者は都市問題も、過疎の問題も、左右それぞれの大政党が、それぞれの立場で答えを見いだすべきだと考える(『政権交代論』「「保守」対社民は基本パターン」参照)。例えば新自由主義政党なら、過疎地の人々に、地域の中核都市、あるいはそれに近い市に移ってもらい、効率化を図るというものである。第1次産業の従事者にとっては難しいことだが、何も工夫できないということはない。そして左派は、税負担が大きくとも現状を守るか、あるいはIT等を活用することで、そこまで急激な変化をさせなくても良いような方法を考える。

無理があるようにも思われるが、皆があり得る選択肢について論じ、吟味するのが本当の民主主義である。中央集権か地方分権かは、大雑把に言えばそれを国全体で考えるか、地域ごとに考えるか、という違いである(「地域ごと」の地域は、現在の都道府県レベルでは、大都市以外は規模が小さすぎるだろう)。