野党候補の統一予備選挙 註

イギリスは例外かも知れない。『政権交代論』でも述べたが、難しい状況となっている。スコットランドでは、国政選挙においても、労働党ではなくスコットランド国民党に票が集まるようになっている。イングランドよりも苦しく、対抗心を持っているスコットランドは、ある意味では東京よりも苦しく、対抗心を持っている大阪に似ている。以前は左派政党(スコットランドでは労働党、大阪では社会党→民主党)が強かったが、今では地域政党(スコットランド国民党、維新系)が圧倒している点も共通する。労働党は、スコットランドで議席を得られない限り、なかなか保守党には勝てない。日本のような1党優位になりかねないのだ。それを打破するには、労働党とスコットランド国民党の選挙協力が有効だ。しかし、それは新たな2つの問題を生む。一つは、労働党・スコットランド国民党の共闘野党が保守党に勝った場合でも、保守党が第1党の地位は守るという可能性があるということだ。イギリスでは国王が選挙結果を尊重して首相を決めることが慣例である。から、共闘野党が選挙前からまとまっていて、首相候補を労働党党首に決定しており、選挙後ももめることがなければ、国王は、労働党の党首を首相にするだろう。だが一つの成文憲法がない国だけあって、わだかまりが残ることも心配だ(追記:アメリカ大統領選の混乱を見れば、筆者はかなり違うとは思うが、トランプとイギリスのジョンソン首相―保守党―が似ているという見方もあるから、よけい心配になる。もう一つの問題は、労働党とスコットランド国民党の連立政権ができた実際に場合だ。スコットランド国民党は当然、スコットランドのイギリスからの独立を引き続き目指す。それを労働党が認めない限り、連立政権はすぐに崩壊するか、非常に不安定な状況となる。より高度な自治という線で妥協できるかもしれないが、それでも独立する場合と同様に、イギリスの議会からスコットランドの議員はいなくなるだろう。イギリス(イギリス議会)の下にスコットランドがあるのではなく、スコットランドとスコットランド以外のイギリスが、より対等に近いパートナーになるというイメージである。そうなれば、イギリスの労働党にとって、かつて強かったスコットランドという「地盤」が永久に失われるから、保守党と対等に渡り合えなくなる、つまり保守党1党優位になる危険があるのだ。永遠に、ということはなくても、長期間そのような状況になることは十分考えられる。