都議選の感想

○驚きの結果

前回都議選のことを書きましたが、もう都議選が終わってしまいました。動画の作成、ホームページのブログ以外の記事を書くのに時間がかかり、なかなか当初の予定通り行きません。「7月中になんとしてでも」と、自分に言い聞かせています。

さて、都議選ですが、かなり意外な結果でした。私も多くの方と同様、都民ファーストは惨敗だと見ていました。それがなぜ勝ったのか。

いや、勝ったというのは言い過ぎでした。議席を大きく減らしたことは確かなので、中途半端な結果であったとは思います。「強い自公、続く左派野党と第3極」という、「一党優位の中の3極構造」、つまりこの10年くらいの傾向に反しない結果であったと言えます。しかし、第3極(都民ファーストは都議会の最大会派、与党であったので、この言い方は違和感を覚えるものではありますが、国政に準じて第3極と捉えます)が、左派野党を引き続き上回っています。

ともかく、小池知事が自民党に回帰するしかないような状況、都民ファーストを見捨てたように見える状況で、明確な組織票がない中、都民ファーストがあれだけの議席を得たのは、快挙であったと言って良いのではないかと思います。

 

○都民ファーストはなぜ、「勝った」のか?

都民ファーストが踏ん張った理由として耳にするのは、小池都知事入院に対する同情です。これはあると思いますが、同情そのものよりも、都民が前回、2017年の自分達の選択を思い出した、という面が大きいように感じます。
自民党への不満が大きい状況は変わっていない(あるいは再来した)。前回の都議選の後、小池知事の野心やごう慢さ(左派排除が小池氏にとって当然のことだとしても、そのやり方は良くなかった。単に自分より格下の議員だけを残そうとしていたようにも見えた)にあきれはしたものの、コロナ禍に目立つ失政のない(実際はどうかは別として)小池氏を代える決断を、都民が昨年の知事選でせず、小池知事に期待することにした。それで「今度は自民や立憲に」というのではいけないと、思ったのだと想像します。

偉そうな言い方かもしれませんが、東京都内の各選挙の結果を見ていると、そのように感じます。また私も、結局投票行動が決まっているとはいえ、このように揺れることがあります。

ただ、安倍総理辞任の時と同じで、不謹慎とされることを覚悟で言うのですが、私は小池氏の体調不良を疑っていました。今は正直分からないのですが、疑ったこと自体は正しいと思っています。

小池知事がコロナ対応にずっと追われていたことは当然分かっていますが、あのタイミングというのは、自分がつくった都民ファーストを支援するのか、都民ファーストを切って、選挙後に第1党(予想としては公明党と合わせて過半数)になる自民党に寄るのか、普通ならはっきりさせるべき時、まさにそのギリギリのところでした。そして実際に、小池知事は立場を明確にしていません。最終日に都民ファーストの応援に回り、それが意思表示だと言えない事はないのですが、それはもう、都民ファーストが予想以上に議席を取りそうだと、分かってからです。そして何より、小池氏に同情が集まり、自公両党が小池氏を試すようなことを、堂々とはできない状況になってからです。

小池知事は本当に体調不良だったのかも知れません。であれば、こんな書き方をする私は、最低なのかも知れません。しかし、「本当かな?」と冷静に見ることも、国民には求められるのだと思います。判断を誤った場合の影響が大きいからです。そして、国民をだますようなやり方が通用するという、前例を作らないためです。

次に都民ファーストが踏ん張った理由として、非自民の有権者が、左派色の強い、特に今回は明確に共産党と協力をした、立憲民主党に抵抗を示したことです。自民党以外の保守政党があれば、非自民票が民主党系ではなく、そちらに入るということです。
その見方が当たっているのなら、総選挙では、非自民票が立憲と維新に割れ、自民党が勝つ可能性が高まります。今回の自民党は大敗と言って良いとは思いますが、それは複数の候補を立てて共倒れをしたからです。複数当選させるだけの人気がなかったとも言えますが、二大政党制志向が弱まり、都民ファーストや維新のような選択肢も生まれ、都民の選択が多様化したという面もあるかも知れません。
これを悪いことだとは思いませんが、全てが一人しか当選しない1人区である、衆議院の総選挙では、そうはいかないということを忘れてはいけないと思います。政権交代を不要とするなら自公両党に。それ以外なら、どんな思いを持っていても、立憲(や野党統一候補)

に投じるしかないと考えます。私自身も、立憲と考えが完全に異なる点がありますが、理念、政策で選ぶのは、政権交代が定着してからと考え、野党第1党に投じています。

自分にもっと近い政党があったとして、そこに票を投じると、非自民の投票先が細分化し、結局自民党が勝ち、何も変わらないからです。自民党が刺激を受けるようなことも、ありません。

もう一つ、都民が改革してくれそうな政党を望んでいるということです。左派野党はどちらかというと、改革による弊害を問題にする立場ですから、そのような票は都民ファーストに向かいます。維新を評価する人も多いと思うのですが、東京では弱すぎる(候補者も少ない)、中心メンバー以外は質が低く感じられる、という壁があったのでしょう。

と書いていたら、都民ファースト都議の無免許運転・人身事故が発覚しました。地方議員の質については、正直分かりません。改革マインドについては、私は維新がずっと上だと思っています(地方議会についてはまだまだ不勉強ですが、そう思っている人は多いという気がします)。

 

○都民ファースト健闘は総選挙にどう影響するのか

これから、自民や立憲の不振についても述べるのですが、その前に、この都議選の結果が、総選挙にどう影響するのか、考えたいと思います。

都民ファーストが得たタイプの票が、総選挙では何党にいくのかということについては、関心が高いと思います。私は自民、立憲、維新が均等に近く、分け合うのではないかと想像します。安定(しているように見えているだけ?)を優先する人は自民、その自民党に引き続きお灸をすえようとする人、筆者のように政権交代(の定着)を願う人、左寄りの人は立憲、新自由主義的改革に共感する人、反自民であっても、立憲には入れたくないという人が維新。こう考えると、どのタイプの人もそれなりにいそうなので、ほぼ三等分かと思うのです。

これなら、総選挙も都議選に近い結果となり、これまでの傾向を裏切りません(どうでも良いことですが)。具体的には、自民党が今までよりは大きく議席を減らすが、自公過半数は揺るがず、立憲は議席を伸ばすものの期待が持てるほどではない(例えば2000年のレベル)、あるいは枝野代表の首がすぐには飛ばない程度の議席減。維新はそれなりに伸びるが、第2党を狙えるようなレベルではない。というものです。このような結果は、冷戦終結後の日本では、よくあったものです(安倍内閣期にすら、自民党は議席をわずかに減らしたりはしています)。

これではつまらないとも言いたくなりますが、そんな悠長な話でもありません。政権交代は永遠に不要だと考える人は別ですが、変化を迫られている時に、「毎度の結果」では非常に困ります。それならいっそ、もっとおかしな結果になった方が良いのではないかとすら、思います。変化の芽が出て来ると思うからです(もちろんリスクは計り知れませんが)。

もっとも、先のことは分かりません。前回の都議選後は、小池ブームが失速し、都議選と総選挙の結果は、全く異なるものになりました。今後の政権に対する評価によって、各党の姿勢によって、そして何より国民の決断によって、結果は大きく変わります。

今述べたこと以外に、小池都知事がまた国政での飛躍の可能性に目がくらんで、希望の党騒動が再演されるということも、考えられないわけではありません。しかし、前回からあまりに近いこと、小池氏にとって、もはや自民党に接近した方が合理的であり、しかしそれも支持されるとは考え難い(小池ブームの起点とは正反対の行動になりますから)ことから、とても無理だと思われます(私はそもそも、見たくもないのですが)。よって、東京の「大阪化」はないと予想します。大阪で維新の会が強いのは、東京の自民党政権に従いつっつも、大阪府民の反東京感情(東京をライバル視する傾向)、愛郷心を利用しているからでもあります。この点、東京は事情が異なります。

小池氏のことですから、コロナ禍と国政を結び付けて、都知事の職を放り出すということ自体は、可能性がないとは言えません。それ自体は理解もできます。しかしやはり、大きな動きにはならないでしょう。「初の女性総理に!」ということで、自民党のトップに躍り出る可能性も、ゼロとは言いませんが、よほど人気が出ない限り、自民党内の反発が勝つのではないでしょうか。「小池自民」は、今の自民党より人気が出そうですが、その前につぶされるということです(「小池自民」も、私は見たくないのですが)。

ただし、小池・都民ファーストが維新と組むと、野党共倒れの可能性はさらに高まります。小池知事を批判してきた音喜多議員が大恥をかくことにはなりますが、維新もチャンスと見れば組むでしょう。分裂を経験しているので、ある程度シミュレーションをした上ででしょうが。

 

○自民党不振の理由は?

といったところで、自民党の不振について考えたいと思います。

最初に思い浮かぶのは、五輪への向き合い方を含めた、コロナ対応のまずさです。これは当然、都議選に影響があったと思います。自民党のコロナ対応には、自民党政治の持つ負の面が、くっきりと影を落としています。このことを考えると、「今回だけお灸をすえた」という人もいる一方、「総選挙でも入れない」という人も少なくないと想像します。気が済んだという話ではないでしょう。

自民党が得ている票の中には、他に保守政党がある場合、逃げて行くものが一定数あるのかも知れません。これを踏まえて、維新は立憲よりむしろ、自民党の票を削るという見方があります。自民票も削られるとは思いますが、私は非自民票が分断される面の方が大きいと見ています(調査したわけではありませんが)。

あとは、公明党からの協力が十分でなかったという事もあるのでしょうか。溝が広がっているとか、ピンチだと言われた公明党に余裕がなかったとか・・・。この辺りは詳しくないので、いずれ調べてみたいと思います。どちらでもないかも知れませんが、どちらかであった場合、ましてや両方あった場合、総選挙への影響は小さくないと想像します。

 

○立憲民主党不振の理由は?

まず、立憲はこの選挙で倍増しましたが、敗北を認めるべきだというのが、私の考えです。前回の参院選でもそうでしたが、民主党→民進党の以前の選挙での不振、分裂によって、選挙前の議席数が野党第1党としては信じられないくらい低いのだから、それで増えたと強がっていても、どうにもなりません。次の総選挙では、110議席と、選挙前議席がそこまで少なくはありませんから、この手は使いにくいですし、こんな「ハンデ」に甘んじていたら、だめな政党になってしまいます。

社会党の時は党内対立もあり、敗北を認めることが、党内の混乱につながることもありました。しかし今の立憲民主党では、そんなことはないと思います(今後もずっと振るわなければ、さすがに話は変わってきますが)。

次に、私自身は立憲民主党に近い点、反対に思える点、色々ありますが、まずは政権交代を実現させ、さらに自民党との間での、政権交代の安定的な定着を実現させ、双方が違いの明確な、しかし現実的、行動的であるような状況に到達してから、改めて、その時重要視する事にも基づいて、選択をしたいと考えています。ですから立憲民主党には何が何でも、少しでも早く政権を取ってもらいたいのですが、だからこそ、問題点を指摘しなければと、思うところです。

一党優位下の野党は本当に大変で、もともとは社会党が問題大ありだったのが災いしていますが、それも戦前の状況に起因するところが大きく、一方的には責められないと思います。まさに政界全体が日本人全体の鏡像だということです。自分で自分を馬鹿にするよりも、変わる努力をする方が良いと、強く思います。

今で言えば、非自民が左派と右派でまとまらないということがあります。かつては右がタブーであったこともあり、非自民は皆、自民党より左でした。しかし今は新自由主義もいれば社会民主主義もいる(新自由主義を左右の軸でどう捉えるかは、ここでは述べません。なお、共産党に至っては社会主義を捨てていません)。国防に関しても右派と左派がある(これは左派がもっと現実的になるべきだと思いますが)。

今回の都議選でも、連合の右派は都民ファースト支持であったようです(連合の組織内候補が、立憲だけでなく、都民ファーストからもたくさん立候補しています。都民ファーストも民進党を切り崩して作られたような面があるので、当然と言えば当然ですが、国民民主党にどれだけの力が注がれたのか、確認してみたいと思っています)。この連合と共産党が、両立しない。しかし連合を取って共産党を捨てても、共産党を取って連合を捨てても、自民党と公明党の連合には勝てません。このため枝野代表はスレスレを行くしかない。共産党側からは、連立を組まない姿勢ががっかりされ(共産党がもっと変わらないと無理だと、私も思いますが)、連合からは、共産党と協力していることをがっかりされる。

自民党が先進国の普通の大政党なら良いのです。姿勢が明確だし、癒着・利益誘導の調整よりも、政策を武器に戦いますから。しかし自民党は右から左まで、左翼以外は全てフローしています(本当はそこまでの幅を持つことは無理なのですが、曖昧な調整が許されています。自民党に失望した人も、優位政党の自民党を頼り、振り向いてもらわなければいけないと考える)。それなのに、自民党の挑戦者だけは姿勢を試される。自民党を左右から、協力もせず、しかも国政選挙は小選挙区中心なのに、別々に戦う。むしろ足を引っ張り合う。これでは、日本が変わるはずがありません。

この状態を壊さなければ、何も変わらない。だから極論を言えば、一度悪くなるとしても、現状を壊さなければいけない、国民はこれを理解しなければいけない、というのが私の考えです。自分が絶対正しいと言うつもりはありませんが、納得のできる、より良い道が見つからないのです。

立憲不振の原因には、本多議員の問題などもあるでしょう。本多議員については、処分が甘いという批判は分かります。しかし、直接悪い事をしたとは言い難いのも事実ですから、「立憲民主党の考えとは合わない」として、離党を求め、従わないなら除名、とするのが良かったと、個人的には思います。総選挙も近いですから、無所属で立てば、選挙区の有権者がすぐに落選させられます。本多議員を、維新の会や国民民主党が、またまた自党の会派に受け入れるかも知れませんが、それはもう、仕方のないことでしょう(これは皮肉です。さすがに今回はないと思います)。

立憲民主党の不振に、消費税を一時的に5%にする方針を、枝野代表が示したことを挙げる人もいます。消費税減税は支持する人もいるでしょうから、その影響は私には分かりません。ただ、支持し得る人が、それまでの枝野代表の言動から、支持する気にならなかったという事も十分考えられます。そうであれば、票を減らす効果しかなかったということもまた、十分にあり得ます。

容易に改善できるはずの敗因を挙げるとすれば、謙虚な姿勢が足りない事だと思います。民主党政権の失敗をもっと素直に認める。批判してくる人を含めて、国民、他党に対して腰を低くする。こういった姿勢が、多くの国民に、「不安、不満はあるが、まずは話だけは聞こう」と思わせるのだと思います。これが足りません(その後、枝野代表が不振を認めました。安住国対委員長の、国民民主党、連合を挑発するような発言は良くないと思いますが、立憲、国民、都民ファと連合の関係を考えると、全否定はできません)。

今回の立憲の結果を細かく見れば、共産党と組むのが得策だということになります。それで敬遠する人もいるでしょうが、そもそも、その人たちが立憲に投票することは、けっこう考えにくいことです。それも残念なことですし、その人たちをも説得するだけの努力は続けるべきです。しかし共産党と組んで、どのような、希望の持てる未来を目指すのか、どんな左派政党を目指すのか、考え、工夫し、訴えることは非常に意味のあることだと考えます。それで、左派的でない有権者を振り向かせることが出来ないかと言うと、そんなこともないと思います。

 

○れいわ新選組の不振

最後に、れいわ新選組の不振についても少し述べて、終わりにします。

地盤もないですし、候補者は非常に少なく新人ばかり、そして何より、れいわという党にも、山本代表にも投票できないので、議席ゼロも仕方がない面もあると思います。

多少ゴタゴタはありましたが、山本代表自身も、れいわ自体も、変わってはいないと思うので、支持が広がらないということはあっても、支持を大きく減らすのは信じ難いです。日本人が飽きっぽいと言ってしまえばそれまでですが、左派政党であるれいわブームは、これまでの新党ブームとは少し異なる気がします。

しかしどうであれ、路線が支持を得られていないのか、コロナ禍における制限も深刻なものとしてある中で、次の総選挙でも浸透しにくいのか、考える必要はあるでしょう。

とは言っても、主張を大きく変えてしまえば、それはもうれいわ新選組ではありませんから、良い案は浮かびません。日本人は理不尽を受け入れてしまう傾向があるので、欧米のように、左派ポピュリズムが伸びることは難しいのでしょう。日本にはEUや難民のような問題も、まだありませんし。格差社会の深刻さ、これからどのように格差が深刻になるのか、訴えることしか思いつきません。

中道左派~左翼にも、れいわの主張等に対する拒否感はあるのでしょうが、それこそ、立憲、国民、共産と議論して欲しいと思います。左派政党に注目が集まりますし、「左派嫌い」の人を減らすことだって不可能ではないと考えます。

令和の政策を取り入れるかどうかは別として、左派野党が変化し、国民の関心を集めれば、日本も近く、中道左右の2大政党を中心とする、政権交代のある政治、つまり議会政治の基本をマスターできるのではないかと思います。