日本人はなぜ政権を選び取ることができないのか、考え、論じる
 
連合が第3極、第3極の第2極化を狙う?

連合が第3極、第3極の第2極化を狙う?

連合の右派は、「立憲共産党」を支持するくらいなら、国民民主党、維新の会、都民ファーストによる第3極連合の支持基盤になる事、さらにはそれを第2極にすることを考えるのかも知れない。もうすでにそれは難しくなっているし、自民にすり寄りたいだけだとも思えるが、そうでない、一つの可能性として考えられるものではある。問題なのは、連合が分裂する可能性が高まる事、そしてこの陣営で、国民民主党が少数派である事だ。

確かに国政では、小池系はゼロ議席だ。しかし東京では、自民党と並ぶ議席数を誇っており(どちらも最盛期よりかなり少ないとはいえ)、何より都知事を押さえている。国民民主党は都議会に議席を持っていない。それに小池系は、小池都知事が本気になれば、国政で国民民主党と並ぶ議席を取れると考えられる(※)。

※ 2022年4月現在、参院選については、東京都選挙区はファーストの会が立てて、国民民主党がこれを推薦する。そしてファーストの会が、比例代表で国民民主党に協力する、という形のようである。その範囲の協力だと、ファーストの会は良くて1議席だろう。しかし小池が本気で国政を目指す時、連合の右派が国民民主党を見捨ててでも、小池系に乗る事も十分考えられる。

 

連合は小池系を味方と考えているだろうが、小池系は保守を自認している。国民民主党も、中道~中道保守を自認してはいるが、労働組合を支持基盤とする政党は、普通は社民系である(そうでなくても、社民系に近い面があると捉えられる)。かつての民社党にもルーツがあり、支持基盤が似ている国民民主党が、もし保守を自認するとしても、それは小池系の保守とは違う(小池系にも民進党出身者はいるが、そのような者の性質を考えなくても、問題はあくまでも小池百合子本人だと言える)。保守は民主党系ほど連合を大事にしないと思う。自民党(の一部)との関係、一般的な人気取りが、はるかに優先されると思う(ロシアのウクライナ侵攻の影響で、原発再稼働支持が増えているようだが、もし脱原発の世論が強ければ、小池は脱原発を維持するだろう。立憲等と、原発政策が合わないことも言い訳にしている国民民主党は、その時どうするのだろうか)。

枝野立憲も、連合を怒らせる事こそ避けようとするものの、大事に思う気持ちはなかったと感じられる面がある。しかし旧総評系は別だろうし、民主党系には連合と共に歩んできた歴史がある。昔から依存している面もあり、連合の意向を軽視するのはやはり難しい。こういった観点で見ると、枝野もかなり気をつかっていたことがわかる(特に、国民民主党と合流する路線になってからは)。枝野が連合以上に共産党を重視しているように見えたのも、それはむしろ、連合を頼る必要があるからこそ、連合の力が2党(立憲と、希望→国民民主)に分けられる事に対する、警戒感ゆえではないのだろうか(もちろんそう単純な話ではないが、そういう面もあるように思われる)。

維新・小池系・国民民主という陣営ができても、維新は雇用の流動化も重視しているし、連合とべったりだとも思われたくないだろうから、連合は軽視されると思う。そして1党優位が変わらない限り、国民民主・維新・都ファ陣営も、かつての民主党と同じような問題を抱えるだろう。それはつまり立憲等、より左の勢力が対抗してくるという事だ(民主党の時代、その左隣にいた社民党は弱体化していたが、立憲が同じように弱体化するとは全く限らない。特に維新・小池・国民民主の連合に、左派色がない場合は、需要が残る。れいわと組むなどして、巻き返す可能性もある―れいわと組めば簡単に巻き返せるという意味ではない―)。結局、維新・小池が民主党化するかもしれないし、彼らがうまくいかず、立憲が復調するかもしれない。

維新も小池系も、チャンスを見つけて自民党にすり寄るのではないだろうか。特に小池系は、維新以上に、(小池の)個人商店の色が濃いから、動く時は一気に動きそうだ(二階の力が弱まる時には、自民党とのパイプが弱るのだろうか。それとも他に、パイプ役がいる、あるいは現れるのだろうか)。

それを考えると、結局、維新・小池系・国民民主という陣営は、一つの政党ですらないから、どれかが抜駆けして、「自民党に寄っているのではないか」と、互いに疑心暗鬼になる可能性が高い。脆い存在だと確信する。すでに似たようなことは、維新と国民・小池系の間で起こっているように見える(国民民主党が一気に、限定的なものだとは言え、常設の協議機関のようなものができるほど、自民党にすり寄るとまでは思わなかったが)。

格差はこれから、ますます拡大しやすくなる。日本における格差は、他国と比べてかなり小さいと言う人がいるが、だからこそ、これから拡大しやすくなるのだとも言える。これこそ政策次第、それと相互関係にある、経済、成長次第だ。だから左派の需要も残る(れいわは支持を伸ばし得る)。むしろ新自由主義的な改革が批判される事が多くなるという事も、考えられる(冷戦後の日本は、新自由主義的改革が求められ、次に批判されるという事を、内閣の政策が基本的には中途半端である中で、状況の変化と必ずしも一致しないまま繰り返すという、非生産的なことをしている)。

新進党ができた時のように、保守系が一瞬第2党になっても、民主党が第2党に戻ったように、自民党vs社会党の構図が維持される可能性は、低くはないと思う。それは必ずしも選挙によらない。新進党、民主党が第2党になったのは、政党の合流、分裂の結果であった。有権者(日本国民)は選挙において、それを追認しただけである(日本人は自民党の総裁・総理大臣の交代も、政党の再編も、選挙では追認するのだ)。いずれにせよ、維新・小池系・国民民主への政権交代がないまま(その可能性が高い)、このような第2党の交代が起こるとなると、民主党系→立憲と維新の、果てない2位争いが続くことになる。つまり、1党優位がよけい動きにくくなる危険がある。それを嫌というほど味わって、また大同団結をし、また分裂するか、新党が出て来る(新党を甘やかし、第2党争いに関わらせるのは、日本の国民だが)。

小選挙区中心の選挙制度である限りは特に、自民党に対抗するには、社会党系の基盤を利用するしかないという面がある。自民党以外の保守政党は、個々の参加者が用意した地盤しかないに等しい。ブームは起こりやすいが体力はない(維新は、大阪では自民党的な強さも兼ね備え、その強さをしばらくは維持できるだろうが、小池系は東京でも簡単に負けると思われる)。その上で第3極は内紛ばかりしているから、第2極になってそれを維持する事、ましてや第1党になる事は極端に難しい。

すでに維新は小池系に否定的だし、国民民主党に対しても不信の念を強めている。この感情は、第2党になる可能性、さらには政権獲得の可能性が高まればこそ、より強くなる(※)。その先にあるのは、さらなる1強多弱化(1強2弱の傾向の強化)だ。それは残念な事であるというより、危険な事である。日本はまだまだ民主的で自由な国だが、ロシア、中国になる危険がないなどとは、思わないほうが良いと思う。

※ 普通は結束力が高まりそうなものだが、1党優位の日本では、政権を取れそうだと言われる場合でも、あくまでも「それまでと比べて」という次元であり、取れないという不安は、むしろ大きくなる。そうなると、どうすれば政権が取れるのかという作戦面での差異、政権獲得後をにらんだ主導権争いなど、党内、陣営の中で、もめ事が多くなりやすい。希望がでて来ると団結するという場合もあるが、そうなると言えるほど、単純ではない。第3極がスター政治家に依存しており、その「スター」同士が仲良くできない、どちらも支える側になりたがらないという問題もある(みんなの党と維新の会がまさにそうだった)。維新には橋下(維新の議員は彼の復帰を口にして来た)、吉村という「スター」がいる。小池系はもちろん小池ありきだし、おそらくスター性のある女性政治家を、後継にしようとするだろう(というのは褒め過ぎで、後継は小池が娘のように思っていると言われる、荒木千陽なのだろうが、筆者は荒木では弱いと思う)。国民民主党は、玉木代表が前面に出て、人気政治家を目指しているように見える。

 

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