日本人はなぜ政権を選び取ることができないのか、考え、論じる
 
小党の3つの役割

小党の3つの役割

一定の支持基盤があるとはいえ、小党として結成し直された国民民主。最後に、同党について考える際の参考として、筆者が考える、小党の3つの役割を確認しておきたい。それは下の通りだ。なお、番号は優先順位ではなく、便宜的に付したものである。

① 少数派の代弁:国内の少数民族など、弱い立場の人々を代表する政党としての、活動。

② 陣営を変える:保守系や社民系の大政党と協力し、右派陣営または左派陣営に、変化を起こす。

③ 連結器になる:本来組みにくい複数の政党を、何か利点がある場合に、時限的にであれ恒久的にであれ、結び付ける。

④ 選挙制度を変える:小党に常に不利な選挙制度である場合、その問題点を主張し、変化させることを目指して活動する(党略と言われるリスクはあるし、実現も非常に難しいが、問題提起だけでも意義はある)。

 

①は、国民民主党とは無縁だろう。そもそも日本では、そういったタイプの政党の必要性は小さいし(一応確認しておくと、無いと言っているのではない)、存在してもあまりに弱い政党になってしまう(だからこそ、別の形で国が配慮する必要もあると言える)。まさか、連合の旧同盟系を、日本における少数派と定義できるはずもない。日本において社会民主主義的な勢力が少数派だと言うのなら(①で挙げたのとは少数派としての質が異なるし、そんな話を国民民主党がするとは思えないが)、まずは他の左派政党との連携を強化すべきだ。

もっと具体的なワンイシューのミニ政党というのもある。NHKのスクランブル化を掲げるN国党系がそうだ。筆者は、自民党にすり寄って政策を実現させる事には批判的だが、ワンイシューの政党であれば、自民党との協力は、必然的にごく限られたものとなる。ごく少数の勢力、あるいは党首だけが自民党に吸収されても、影響は小さい。それならまだ、理解できるところもある(それでも自民党入りを良いとは言えないし、他の野党の評判を下げて、自らが浮上しよう、自民党に気に入られようというのは問題だと思う)。だが、国民民主党はそのような政党とは違う。同党が自民党にすり寄る事の弊害は、N国党が仮にそうする場合よりも、大きい。

 

②は、左派陣営については投げ出したのだと言える。かと言って、国民民主が自民を中心とする右派陣営に入っても、その右派陣営を変える事はもっと難しい。日本は圧倒的に自民党1党優位だし、国民民主党にはそれだけの物理的な強さも、意志の強さも、人気もない。これまで述べて来たように、利用されて終わるだけだ。維新と組んで、新自由主義陣営を形成し、その弊害を改める(あるいは「第三の道」-新自由主義を取り入れた社会民主主義、様々な考えがあり得るが、例えば機会の平等があれば、格差の拡大を容認する-を目指す)という方が、まだましだと思う。しかしそれでも、自民党にすり寄ったり、小池系と合流しようとしたりする国民民主党には、荷が重すぎると思う。それに、新自由主義と連合との、親和性の問題もある(「自分で導入した選挙制度の長所を殺し、短所を助長する連合」参照)。

 

③は、筆者が期待していた事だが、これも投げ出しているように見える。

筆者が期待したのは、立憲民主党と維新の会を、何らかの形で結び付ける、少なくともしっかりと話し合いができる状況にする事だが、維新と都ファを結び付ける事すら、しようとしていないように見える。

 

④については検索してみたが、玉木代表が、「小選挙区制度でなければ、政策が全く異なる他党との「共闘」など考える必用がなかっただろう。」とツイートしている(2021年11月22日)。しかしそれは甘い(1党優位というものを甘く見すぎている)と筆者は思う。どんな制度であれ、小選挙区制ほどではないにしても、他党との協力は必要になる。玉木は共産党を想定しているのだろう。確かに、共産党とまで共闘する必要はなくなるかもしれない。しかし、最も選挙協力の必要性が小さいと思われる比例代表制は、共産党も議席を伸ばしやすい制度である。であれば選挙後に、共産党の助けを求めざるを得ない状況になる可能性もある。話はそう単純ではないのだ。

国民民主党は選挙制度改革も唱えている。しかし衆議院の比例復活と、参議員の合区を問題視してはいるものの、それ以外は、選挙制度自体については具体性に乏しい(衆参両院の役割を見直すという事を唱えてはいるが、それはどちらかというと、参議員の合区を解消するためであるように捉えられる。合区を解消し、各県の代表を選出するという面を重視し続ければ、1票の格差は、どう見ても違憲であるという域に達する―すでに達しているにも関わらず、最低限の対応に留めているのだとも言える―)。

なお、②、そして一般論では③と関係することについて、補足したい。な過半数を上回る陣営がない場合、小党が単独、あるいはいくつかの小党で、キャスティングボートを握り得る。その場合、2つの陣営の間を、移動する事もあり得る。その小党(のグループ)が味方した方の陣営が、政権を取れる(または維持できる)という状況も、考えられる。民意の極々一部しか反映していない小党が、政権の枠組みまでをも決める事については、少数決だという批判がある(かつて、自由民主党が付いた方が政権を得るか維持する状態が続いた西ドイツがそうだ)。確かにそうなると、小党が求める事が、他党が優先順位を低くしているもの、あるいは反対であるものまで、どんどん実現する。これについては問題があると、筆者も思う。ただし1党優位の日本の場合、そのような小党の動きであっても、非自民連立政権ができるならば良いと思う。次善の策である。

新たな国民民主党はまだ、結成されて2年も経っていない。この話はひとまずここまでにして、今後を見守る事にしたいと思う。

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