日本人はなぜ政権を選び取ることができないのか、考え、論じる
 
第10章 1列の関係・野党の2択(⑪)~鉄道広軌化と、政国合流を狙う犬養~ 註

第10章 1列の関係・野党の2択(⑪)~鉄道広軌化と、政国合流を狙う犬養~ 註

註1:政界全体が薩長閥と自由党系の連合体と、改進党系の2つに分かれた場合、改進党系の埋没は避けられる。山県-桂系と立憲政友会を、共に旧体制の主要な構成要素として同一視することで、存在感を示すことができるからだ。しかし埋没しないからといって、強くなるわけではない。独裁勢力に近い面がある薩長閥と、それが唯一思うように動かせない衆議院の過半数を上回る立憲政友会、これらが合わさったものと、衆議院の第2党とでは力の差があまりに大きく、改進党系に希望があったとは考えにくい。

 

註2:薩長閥への接近を排除しない。そして実現の難しい減税よりも、利益誘導によって支持を得るという現実的な路線が、自由党系をより強くしたことは言うまでもない。ついでに改めて述べておくと、立憲政友会の優位を決定づけていたのは、自由党~立憲政友会の要人達(特に星亨と原敬)の手腕によるものだが、その星が立憲政友会を政界の中央(図⑩-A第6章1列の関係(⑦⑧⑪⑫⑬)~繰り返される歴史~参照)に位置させたことは特筆すべき事である。立憲政友会が山県-桂系に対抗し得る(唯一の)勢力になったために、同党が中央に位置するという構図は変化しつつあった(本章1列の関係(①⑩)~改進党系の不振と衆議院1強2弱化の可能性~参照)。ただ、政界全体が薩長閥の山県-桂系と、自由党系に2極化してきていたと言っても、改進党系がまだ残っており(薩長閥薩摩系もあった)、衆議院はなお、改進党系(立憲国民党)が第2極、薩長閥に連なる吏党系(中央俱楽部)が第3極という、3極構造であった(薩長閥が改進党系と組めば衆議院も2極構造となって、立憲政友会の優位性が崩れる可能性はあった。そのためには立憲政友会が、非政友会内閣期の総選挙で、過半数を一定程度割り込む必要があった)。

 

 

Translate »