1-14民進党に注文をつけるのは簡単だが1.政権交代論

理解してあげて共に解決する有権者が必要

民進党には批判的な国民が多かった。このことが党を動揺させ、そこに小池新党が現れたから、現職を含む都議選の候補者達がなだれ込むように移籍し、国政においても同じことが繰り返された。ただし国政の場合は、党の決定に従って移動した議員達も多いから、一概に同一視は出来ない。どうであれ、情けないのは確かだが、第2党(野党第1党)は重要であるのだから、情けないといっているばかりではだめだ。国民がなんとかしなければいけないという面もあるのだ。

日本の野党は本当に手がかかる。仕事に家事に忙しい日々、そんなに政治に関わってはいられない。しかし日本の民主主義、政治の質の向上のためには、政権交代可能な野党が必要である。今野党を正すのは、議会政治の経験わずか120年弱、民主政治までの道のりを、ギュッと短期間につめて済まそうとした日本人に残された、重要な宿題である。

民進党に無くなって欲しいなどと言っていた人には、民進党に変わる選択肢を、傍観者の立場を捨てて、本気で育てる責任がある。自分が支持する政党が、自民党と組んで政策を実現させればよいというのは、自民党の「善意」に甘えているだけであり、少なくとも1党優位制を改めない限り、遅かれ早かれ砕かれる希望である。

自民党の支持者で、自民党だけあれば良いという人には、自民党が自身の希望に沿わない政党になってしまった時、それに代わる選択肢が存在しなかったらどうするのか、と尋ねたい。その時には対抗する有力な政党が現れるだろうとか、つくれば良いと言っても、それは簡単なことではない。もちろん一夜にしてはできないし、その間優位政党を放置しておくのもリスクが高い。

自民党では、派閥の合流による、優位派閥清和会への対抗勢力づくりが進んでいるのに対して、民主党→民進党では、派閥の細分化が進んでいた(民主党の派閥はグループと呼ばれ、重複参加が少なくないため、いつの間にか事実上分裂していることもある)。民進党内で結束して代表選、政策決定の行方を左右して欲しいと筆者が考えていた、旧維新の党系すら真っ二つに割れた。与党のように権力、配分できる魅力的なポストが無いから求心力が働かないということもいえないくらい、まとまりが悪いのである。少数の強い派閥が激突することは、確かに党を揺るがすこともあり得るが、エネルギーにもなる。それに対して数多くの小さなグループが互いに対抗心を持ってひしめいているのは、党をますます、身動きが取りにくい状態にしてしまう。エネルギーも失われていく。国民の、党にプラスとなるような関心も、集めづらい。

大平総理の死や郵政民営化に対する評価もあったとはいえ、自民党は分裂状態になれば応援する人が増えるのに対して、社会党~民主党は同じような分裂(状態)で、支持を大きく失う傾向があった。

民進党が衆参の第2党であった状況については、五十五年体制のように1と2分の1政党制だと言うことすらできない。社会党は負けても最低限のまとまり(冷戦期であり、イデオロギーの違いがあったから、簡単には他党にも移れなかった)、議席数を維持する最低限の力はあったが(中選挙区制のおかげであり、小選挙区制-中心の制度-になっていれば失われていたが)、民進党にはそれが無くなっていた。また社会党の周りには、民社党や公明党といった、自由競争よりは結果の平等を重視する政党が多かったが、民進党の周りにはそのような政党は共産党しかない(数議席程度の自由、社民両党を別にすれば)。国民やメディアが民進党を叩けば、格差是正を重視する勢力が壊滅してしまうという危険がある。「維新の会は教育の無償化に熱心であることから、機会の平等を重視する社会自由主義政党の性格も持っているし、格差是正を旨とする政党も出てくる」という見方は、左翼を笑えないほど能天気だ。

なお、生活保護の不正受給が、本当に守られなければならない弱い人々の権利を奪うことになるということも確かにある。しかしその線引きは時に難しく、政治家がそれを正義として行う場合、不当な差別などを生む危険性もある。これには外国人労働者から自国の労働者を守れと言う、ヨーロッパのポピュリズム政党の問題と通じるところがある。一見左に扉を開いている政党であっても、注意する必要もあるのだ。

政党が生まれ、そして育つことがどれだけ大変なことか、明治以来の歴史、他の国々の歴史を見れば分かる。それが簡単なことなのであれば、自民党の他に成功した政党が、すでに現れているはずである。

小さなグループが乱立する状態になるのは、リーダーになろうとする議員が多すぎるのと、このままでは駄目だと分かれ、それでも駄目だとまた分かれ、ということを繰り返しているからだ。党が一定の支持を得ていれば生まれる凝集力が、人気を失う中で働かないのは当然だが、不満が渦巻いている状況が、細分化を生み出している。有権者がもし、党内にある例えば1つの方向、グループを強く支持する場合、状況は変わる。それを軸にした凝集力が働き、不満分子の離党や党内グループの乱立は、あっても小規模なものにとどまる。立憲民主党という勢力には、そのような傾向がある。党が分裂してやっと変化が起こったというべきか(民進党分裂の是非については、改めて述べたい)。