1-14民進党に注文をつけるのは簡単だが1.政権交代論

民主党→民進党よ労組を切れ!と簡単に言うな

自公両党の結びつきは強く、自民党が政権を握っている限り、公明党は自民党について行くだろう。だから「自公連立政権」を倒さなければ、政権交代は起こらない。それに、与党を分断して政権を得るよりも、野党が正々堂々と自公両党を下して政権を取る方が、可能であればずっと良い(可能でなければ、準備をしながら、「100年に1度」クラスの奇跡を待つしかないのだが)。自公両党の組織票に対抗するために野党第1党は、労働組合の票を求めざるを得ない。他の先進国の社会民主主義政党、アメリカの民主党は、労働組合を支持基盤の中心としている。

ところが日本では、民進党系に労組切りを求める声が少なくない。西欧の社会民主主義政党の例でいえば、労働組合は、社会民主主義と、保守政党の新自由主義を融合させる際の、抵抗勢力であった。だから労働組合の影響力を小さくする必要があったのである。しかしイギリスの労働党は今、再び左に寄り、それが支持を得ている。労働党が、この路線変更で政権を奪還するまでに党勢を回復することができるのか、まだ分からない。しかし、このような変化が、時代の移り変わりと共に起こるのは自然なことだ。そのたびに労組を切るとか、今の労組は正規雇用のためのものだから悪いものだ、などとあたふたしていては始まらない。社会民主主義政党は、気持ちだけでも労組に依存しすぎないようにし、労組を否定することもせず、必要に応じて、国民の見えるところで、説得するべきなのだ。

日本の労働組合(連合)は、抵抗だけしてきたわけではない。むしろ左に寄り過ぎる社会党を何とかしようとし、非自民連立政権の誕生に尽力した。民主党が結成されると、社民党を支持していた連合内左派(総評系)の多くも、民主党の方を支持した。つまり、古い社会主義政党の刷新に、むしろ動いてきたということができる。確かに数集めのために(総評系が社会党→社民党→民主党、連合内右派の同盟系が民社党→新進党→新党友愛という、股裂き状態の解消のために)、民主党の性格を曖昧なものにしたという批判が、特に立憲民主党が評価されている今となっては、強くなっている。

しかし他国の例を見ても分かる通り、正規雇用の労働者の立場を良くするという、本来は弱者のためのものであった姿勢を基礎に、それでは守れない社会的弱者のための政策を、加えていくという以外にない。それが成功していない国では、極右政党や新たな極左政党が躍進するのだ(有権者の理解が十分でないことから、躍進しているという面もないわけではないが)。これは危険であるだけではなく、弱者を守るということについても、失敗する可能性が高い(これについては、また改めて述べたい)。

富裕層が自民党、彼らに雇われながらも、比較的良い生活をしている人々が中道政党、不安定な生活を強いられている人々が左派政党というのでは、結局は自民党と富裕層の思うつぼだ。正規雇用の人々の子供たちが将来、不安定な生活、貧困に苦しむという可能性もある。そうならないためにも、被用者全体が団結することは必要であり、効果的だ。民進党も、同党分裂後の立憲民主党も国民民主党も、そして連合(日本労働組合総連合会)も、格差是正が必要だということ自体については、一致している。貧困層が増えれば、多くのモノやサービスが売れなくなる。被用者は搾取されるリスク、富裕層のための政治の犠牲となるリスクが多少なりともあるのだから、支持政党まで分けてしまうのは損だ。

民進党が脱原発路線に積極的に進めなかったことについても、原発に関係する企業の労組のせいだと、批判された。だが、批判をしていれば良いということではない。原発が非常に危険なのは間違いないとしても、いずれかの意見が絶対的に正しいとするのは危険で、有意義な議論が必要になる(だから優位政党対徹底抗戦型野党という構造は困るのである)。

民進党系と、労組をまとめる連合が、議論をつくした後でも一致しなかった場合はどうすれば良いか。この場合、主張を通すべきなのは、連合以外の国民からも支持を得ており、また広く支持を得なければならない民進党系である。議論を見ていた一般の有権者、あるいは一般の労働組合員に支持を求めればよいのだ。あとはその、有権者の判断だ。民進党系がこのような方法を採った場合には、国民はそれをほめなければならない。そうでなければ、連合の顔色だけをうかがう、政権は取れないが、第2党の地位は維持する政党が、国民の選択肢を奪い続けるだけである。

最初から、無党派層ばかりを頼りにするのでは、理念を安定させて、党勢を維持、拡大することはできない。今までのように、その時々に目立つこと、非現実的であっても、多くの人々、あるいは「声の大きい」人々が喜ぶことばかり唱えることになってしまう。無党派層が最も重要だと言うのなら、矛盾はするが、無党派層による「利益団体」をつくるしかない。難しいが、挑戦してみる価値はあるのではないだろうか。