1-14民進党に注文をつけるのは簡単だが1.政権交代論

民主党→民進党よ共産党を切れ!と簡単に言うな

共産党を切れ、ということについても、労組の場合とほぼ同じである。政権交代を実現した2009年の総選挙では、確かに共産党が候補者を減らしていなくても、民主党は過半数を取れていただろう。しかしこれは、すでに述べたように奇跡的な勝利、矛盾を抱えた勝利であり、自民党が公明党と手を切るのでない限り、基本的には民主党→民進党系は、共産党との協力なしに政権を取ることはできない。奇跡的な状況にならなくても、また大きな矛盾を抱えなくても、必要に応じて政権交代が実現するようにしなければならない。ただし民主党系のうち、共産党との選挙協力に反対の議員は、協力の必要性が増した原因に、自らの政権の失態もあることを、忘れないで欲しい。また頑張れば良いのだという、前向きなやる気が大事なのはもちろんだが、それだけでは取り戻せないものもあるということを、冷静に受け止めることも大事である(2009年の民主党への政権交代は、奇跡的に条件が整ったのだと言える―その重要な一つが、リーマンショックの影響などにより、麻生内閣が成立後早期に衆議院を解散しなかったことである―)。

本当は大きく異なる、今の自民党と公明党が組んでいて、野党だけは組むな、分裂しろと言うのはフェアではない。民主党→民進党は内部対立を克服する気すらなかったから、そう言われるのも自業自得だ。しかし、これからはそうではないかも知れないから、公平な目で見守らなければならないのは当然のことだ。

確かに、15年以上の与党経験がある公明党は、政権の中心を担う役目は経験していなくても、共産党よりも政権担当能力が高いはずだし、建前上は創価学会の政党ではなくなった。それに対して共産党は、社会主義、共産主義を捨てておらず、与党にするのは、問題がある(共産党は反対政党の活動の自由を保障するとしているが、資本主義政党への政権交代を、認めているとは言い難い。選挙の結果でいつでも資本主義に戻り得る国を、社会主義国家と呼べるだろうか、それを認めながら平等、あるいは産業の国有化を目指すのは社会主義政党、共産主義政党ではなく、社会民主主義政党ではないのだろうか)。しかし、かつての創価学会・公明党のひどい選挙違反(盗んだ投票所入場券による替え玉投票など)、出版妨害事件、公明党の宗教色のある綱領を思い出して欲しい。公明党は、これらに対する反省を党改革という形にして示すことと共に、都議会の与党になったり、自民党に接近したりすることで、日本の議会政治に相当程度適応した政党になったとい言えるえる。だから共産党というだけで、同党と部分的に協力することも含めて、完全に否定することはない。

重要なのは、共産党に変化を求めることである。もちろん、それによって共産党が得ていた票が流出するリスクも、共産党が変化を拒むという可能性もある。何より、「間違っている共産党を正す」というのは、一定の票を得ている政党に対して失礼である。謙虚さを持って、あくまでも、選挙協力をする前提として、どうしても認め難い部分について、共産党の支持者も納得できるよう、根強く、時にはオープンな場で、説得することである。説得は議論になるから、両党の支持者にも、それ以外の国民にも、考える機会を与える。

共産党が資本主義、選挙による政権交代を否定し、自由のない共産党独裁政権を目指すのであれば、民主党系は共産党よりも、自民党に近いということになる。しかし共産党は変化し得るし、民主党系が共産党の言いなりになって、そのような国家をつくるところまで、付き合うことはないのである(それに近い状態にすらならないよう、気を付ける必要はあるが)。大事なのは方向である。真ん中よりも右に自民党が、左に民主党系があると言える。仮に民主党系が自民党よりもずっと左に位置していたとしても、その位置で民主党系が右を向いてしまうと、有権者が事実上、選択肢を得られないということになる。今差異があっても、目指す方向が自民党に近ければ、国民に未来を選ぶ権利がないということに、事実上はなってしまう(この視点で、公明党の新生党との合流―1994年―、自民党との一体化の是非についても、考えるべきではないだろうか)。

筆者は共産党内の民主性について疑問を持っているが(それは公明党についても同じだ)、それでも共産党が弱者の味方になっていることは認める。この点は、民進党系が左派政党として(社会-民主-主義政党にルーツを持つ政党として)、見習うべきであり、それができないなら、共産党と組むことで補うべき点である。民進党系と共産党は連携することで、お互いを補完することができる要素を持っている(特に、民進党系が政権を握って現状に妥協する時、つまり左から中央へ動く時、左からの一定の、敵対的ではない声は必要である)。それをしないのはもったいない。

もう1つ、民進党も共産党も、自民党よりも左なのは間違いない。自民党が新自由主義的な保守政党の性格を強めている、つまり民進党系との距離を広げている以上、民進党系とその左の共産党が、たとえその距離が遠くても、多少の協力をすることは、危険性がない限り、合理的なことだといえる。仮に民進党と共産党の連立政権が誕生するところまでいっても(その可能性は低いし、筆者も現状では認め難い)、日本が中国のような社会主義国になるという危険はないだろう。あったとしても、それこそ他の政党や、国民が黙っていないであろう。

政権構想としては、とりあえず閣外協力としておけば良い。もちろんそれでも、共産党が反対する法案を可決させられないという状況を、想定しておかなければならない。対策としては、共産党が反対することで、自民党政権に戻ることも含めて、より共産党から遠い法案が成立してしまうから、賛成すべきだと説得するしかない。もちろん、「そういうふうに脅しておけば大丈夫だ」という横柄な姿勢、理解してもらう努力を怠ることは許されない。譲歩することも必要だ。野合だと言われないためには、そのような話し合いを国民の前でして、ごまかすことなく、理解を求めることが大事である。独りよがりになることは許されない。

最後に、共産党と組むと無党派層の票が逃げるという見方があるが、両方とも手に入れようとするくらいでなければ、何でも飲み込む自民党(時には共産党とも協力する自民党)には、対抗できない。共闘に参加しない(できない)比較的大きな政党(日本維新の会)があり、その状況を変える努力も不要だとは言えない(筆者は必要だと思う)中、現状では共闘の枠組みの中の、民主党系に次ぐ勢力である(組織力では上回っているとも言える)共産党の特殊性から、堂々と協力することが難しく、その対策も必要な中、しかもそれらができたとしても、組織票で自公両党には及ばない中、もがき続けている民主党系に、国民は真剣に向き合うべきだと思う。