2.キーワードで考える日本政党史

第3極・1列の関係(①)~新たな中立派の出所Ⅰ、自由党の躍進~

新たな中立派がなぜ現れたのかを探るため、まずどの選挙区で、どの勢力に代わって現れたのかを見てみる。第3回総選挙へとつながる、第5回帝国議会における衆議院の解散当日の、国民協会、政務調査属所所属議員の選挙区における、第3回総選挙の結果を見てみよう。(2)と付記した2人区の場合は、1名のみが連続当選しているか、または同じ政党の候補者が当選している場合、そして2名ともが同じ政党、会派に取って代わられた場合には、当選しなかった議員の地盤がどの政党、会派に奪われたのかを断定することができる。そうでない場合は、2つの可能性の双方を記し、それぞれに「判別不能」と付記する。総選挙後に移動している場合は、「~へ」などと付記する。

国民協会所属議員の選挙区

・国民協会の候補が当選(再選を含む)

岩手3区(中立倶楽部へ)、埼玉4区(2)、富山1区(2・無所属に)、岐阜1区、愛知8区、愛知9区、大阪1区(無所属に)、大阪5区、広島4区、山口3区、福岡4区、長崎6区、熊本1区(2)、熊本2区、熊本3区(2)、熊本3区(2)、熊本4区、熊本6区、大分3区、大分4区、大分5区、鹿児島1区、鹿児島4区、鹿児島7区

・立憲改進党の候補が当選

岩手2区、東京12区、兵庫8区(2)

・同志倶楽部の候補が当選

青森1区(2)、佐賀1区(2)、佐賀2区(自由党へ)、大分6区、宮崎2区

・自由党の候補が当選

山形2区、山県3区(2)、群馬4区、石川1区(2)、山梨2区、長野4区(2・湖月派か判別不能)、岐阜6区、愛知1区、愛知2区、滋賀4区、福岡2区(2)、福岡2区(2)、福岡5区、福岡7区、長崎1区(2)、長崎1区(2・無所属に)、長崎3区、長崎5区

・中立倶楽部に属することとなる無所属の候補が当選

秋田1区、東京5区、東京8区(独立倶楽部へ)、岐阜2区(独立倶楽部へ)、岐阜5区(独立倶楽部へ)

・独立倶楽部に属することとなる無所属の候補が当選

東京1区、岐阜4区

・湖月派に属することとなる無所属の候補が当選

長野四区(2・自由党か判別不能)

・その他の無所属の候補が当選

岡山1区(2・中国進歩党へ―会派は立憲改進党の議員集会所―)、鳥取1区、山口1区(2)、山口1区(2)、山口2区、山口4区(2)、山口4区(2)、山口5区

政務調査所所属議員の選挙区

・旧大日本協会・政務調査所派に属することとなる候補が当選(再選を含む)

京都1区、京都6区、奈良2区(2)、鳥取3区

・立憲改進党の候補が当選(いずれも中国進歩党を結成するも会派は立憲改進党の議員倶楽部)

岡山2区、岡山4区、岡山5区

・同志倶楽部の候補が当選

佐賀3区(自由党へ)

・自由党の候補が当選

宮城1区、宮城3区、福島2区、京都5区(2)、島根1区、島根4区、宮崎1区

・独立倶楽部に属することとなる候補が当選

島根2区

・その他の無所属の候補が当選

京都5区(2・再選)、奈良1区、鳥取2区

自由党に多くを削られているのが分かる。国民協会の前職が不出馬を決めた場合も含めて、同党が国民協会から議席を奪う形となった選挙区の約半数、政務調査所から奪う形となった全ての選挙区は、取り戻したものではなく、初めて獲得したものであった。第3回総選挙後に結成された中立会派である中立倶楽部、独立倶楽部、湖月派に属することとなる議員は全部で29名であるが、そのうちの8つ、あるいは判別不能の1つを加えた9つの選挙区も、国民協会から奪う形となったものである。