しかし2019年の参院選の総括は不十分だった

筆者は今回の総選挙で、立憲の躍進に期待していたわけだが、見誤っていたことがある。2019年の参院選の結果を軽視していたのだ。

今回(2021年総選挙)の立憲民主党の敗因は、大きく2つに分けられると思う。一つは、2019年参院選での不振に関する分析の不十分さ、または誤った理解。もう一つは今後改めて述べるが、これまでの経緯についての国民の無理解がある(前者についてはもちろん批判を覚悟している。これまでの経緯というのは、五十五年体制の終焉とその後の歩みである。そこには多くの政治家の間違い、失敗があったが、その歩みを理解しなければ、今どの地点にいるのか、どうすべきかは分からない。これについては、日々の生活やキャリアアップに必要な事でこそないが、日本人として未来を手にするために、国民も学ばなければいけないと思う)。

筆者は2019年の参院選の結果を、立憲の敗北だと捉えた(『続・政権交代論』「2019参院選、立憲民主党敗北」参照)。議席は確かに増えたが、元が少なすぎたし、枝野代表の顔も曇っていた。

元が少ないというのは、2019年に改選を迎えた議員達が、2013年の、民主党が野党に転落し、大惨敗した参院選の当選者である事だ。次の2016年の参院選ではある程度復調したが、下野する以前の勝ち方にはまだまだ戻っていなかった。維新の党と合流したと言っても、その参院議員も少数であった。この少ない議員たちがさらに、立憲民主党と国民民主党に分かれているのだ。旧立憲民主党は参議院では、福山幹事長1人で始まっている(福山は2013年・2019年改選ではなかった)。

回りくどく説明したが、改選議席はたったの9であった。それで17議席獲得したのだから、2倍近くに増えたというわけである(本人達もそう言っており、同様の評価をする報道も少なくなかったと記憶している)。しかし公明党の獲得議席は、わずか3議席差の14であった。かつての社会党も、第2党であった時は最低でも20は取っていた。合計の定数は今より少し多かったが、この結果は社会党の末期にあたる時期で、大敗とされる。この事も考えると、野党第1党としては全く、ほめられた議席ではない。本人達が結成時、野党第1党になると予想していなかったのだとしても、そうなった以上は、まともな議席を取る責任がある(このような事は枝野も語っていたと記憶している)。

そして筆者は、この2019年の参院選後、立憲は維新を含む他党の話を謙虚に聞くべきだと述べた。組むという事ではなく、決して強い支持を受けてはいない野党第1党として、他の野党に真剣に向き合う事を主張したのだ。しかし立憲はそれをせず、国民民主党と社民党を吸収して、より大きな政党をつくる事で、展望を開こうとした。

この時も、主に選挙が終わってから、民主党系が2つに割れている事で、野党を支持する人が希望を持てず、弱くて小さい野党に冷めているというような事が言われていた。筆者はそうは思わなかった。それぞれが得意なところで支持を伸ばし、それを活かすように組めば良いと考えていた。自公や維新に批判されることもあるだろうが、希望の党ならまだしも、国民民主党はもう完全に民主党系の政党であった。2年前まで一緒にいた議員達が、確かに分かれてすっきりした面もあったが、別々の党として連携することまでは、そんなに不自然な事だとは、筆者は思わなかった。自民党と公明党だって、実は(「もともとは」と言った方が正確かも知れないが)、かなり違う。このことから、合流の有無はわりとどうでも良く、問題は別なところにあると、筆者は考えていた。

そこまでは良かった。自分は間違っていなかったと、筆者は思う。しかしいざ合流が実現し、かつ自民党政権がコロナ対応で失望されると、政権交代まではいかなくても、第1、2党が対等に近くなるのではないかという期待が膨らんだ。菅義偉内閣ができたり、総裁選で盛り上がった後に岸田内閣ができると、立憲民主党が大きく議席を減らすことを恐れたが、岸田内閣の成立当初の支持率が、新内閣としては低かったから、なんとか勝負になるのではないかと期待した。政権交代なき1党優位の政治が終わって欲しいと、どうしても焦ってしまう。立憲の問題点を、【一度置いておく】、【政権に就けることで再度鍛える】という考えが強くなり過ぎた。

この考え自体が、間違っているとは思わない。政権交代が定着しなければ、政党間の競争は厳しいものとならない。せっかくの、選挙における国民の選択も、【少しのガス抜き】、平時には【単なる人気投票】の域にとどまってしまう。これでは政党も国民も成長しない。

筆者はこれ以上ないというくらい無力だし、一般の国民にできる事は限られるのだから、何より立憲民主党自体が、もっとしっかり自分を見つめてくれなければ困る。そもそも民主党政権の総括だって不十分だ。自分達でどうしてもできないと言うのなら(そんはずはないのだが)、民主党政権に関わっていない、維新の党、みんなの党の出身者に頼めば良い。

「それができない立憲を伸ばして良いのか」というのは確かに大きな問題だ。しかし動かさなければ何も変わらない。議会政治の先輩国も皆、マイナス面を乗り越えて政党を育ててきた。「万年野党」を責任ある立場につけたり、あきらめずに声を届けるしかないと思う。

 

2019年の参院選の結果は、何を教えてくれていたのか→