日本人はなぜ政権を選び取ることができないのか、考え、論じる
 
低支持率のままであったとしても、菅内閣が小池新党に助けられていた、くだらなくもが1党優位国らしい可能性

低支持率のままであったとしても、菅内閣が小池新党に助けられていた、くだらなくもが1党優位国らしい可能性

8月ごろ、このままでは政権交代になると言われていたことがあった。筆者は、当時の状況のまま総選挙になっても、政権交代のハードルは相当高いと思っていたが、第1、2党の力の差が縮んでいくことには、大いに期待した。しかしそれについてすら、防ぐ手立てが採られていたのかも知れない。

二階前自民党幹事長は、菅義偉総理を支える立場であると同時に、菅総理とはあまり関係が良くなかった、小池都知事と近かった(共にかつて新進党、自由党、保守党にいた)。総選挙が早まったことで参戦は見送られたが、都民ファーストの会がファーストの会という国政政党をつくって、総選挙を戦おうとした。結成までは進んだファーストの会については、今後動きがあるかも知れないし、また改めて述べたいが、立憲民主党が政権交代を実現させるほどに支持を集めた場合にこそ、力を発揮するはずであったという見方がある。

政権交代の「危険」性が高まった時に、小池系が総選挙に参入する。それによって、消極的な支持も多い立憲の票を削ることが、考えられていたのではないかということだ。大いにあり得ると思う。

大阪では維新の躍進が確実視されていたが、維新があまり支持されていない東京等では、立憲が躍進すると見られていた。そこに小池系が参入すれば、東京、いや東京周辺まで、小池系が大勝するか、少なくとも立憲と共倒れになり、自民党の議席減を防げる。

「なんだ」と思う。どのような状況になっても、圧倒的に強く、維新も含めて色々なカードを持つ自民党が、結局勝つんじゃないかと、空しくなる。消極的な支持が多い立憲にも、もちろん問題はある。しかし正攻法でない、このようなやり方で、いざとなれば政権を維持する自民党、過半数を割った場合には、維新や国民民主党を与党に入れてあげて、力を維持する自民党を、国民はもっと警戒するべきだと思う。

なお、維新の会が自民党と組む事自体には、筆者は賛成する。非自民票が維新に行かなくなることもあるが、それ以上に、与野党の対立軸がはっきりし、違いのある2つのグループに、政界が分かれていくと思うからだ。国民民主党はその性質上、自民党の方に行くべきではないと思うが、行きたそうにも見える。その場合はもう、国民民主党をあきらめた方が良いと思っている。さらに、信じられないくらいに自民党が強くなっても、(既存の)それで国民が目覚める事はある。中間団体があらゆる面で弱くなっている事は確かであり、それは不安定化も招くが、個人の自由な動きを促す面もある。本気で野党を育てる覚悟ができてくるかもしれない。

最後に、維新の名が出たついでに述べておくと、維新が今後、改革に後ろ向きに見える自民党に迫るほどの、支持を得る可能性はある。しかしそれでも、未来は暗い。維新に対する評価は別として、未来は暗い。なぜなら、「ついに政権交代か」という段階になれば、自民党は河野太郎など、改革派と見られる人物を総裁・総理にするだろう。そうなれば維新は一気に埋没する。本当はそんなことはおかしいのだが、そうなってしまうのが、1党優位の日本だ。

それも悪くないと思う人もいるだろうが、それでは国民が政権を、真に選ぶ段階には進めない。それに自民党は、自らの「危機」さえ去れば、改革にこだわらない議員を、総裁・総理にする。これを繰り返しているのが1党優位の日本だ。もっと別の解決策を、とにかく1党優位を終わらせる事を最優先に考えなければ、実は何も変わらない。

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