日本人はなぜ政権を選び取ることができないのか、考え、論じる
 
新民党・実業派の動き・野党再編(①)~新民党と実業派の役割~

新民党・実業派の動き・野党再編(①)~新民党と実業派の役割~

イギリス等の保守主義政党と自由主義政党の対立における自由主義政党の役割を、1890年代とは異なると言える新たな新民党と実業派が、担いつつあったと捉えられる。その勢力がイギリス等の自由主義政党より小さかったのは、日本の産業構造を含めた後進性ゆえだろう。その後進性ゆえに、権力を持つ薩長閥、権力に着実に近づいて行った、つまり保守化していった自由党系、この双方に対する挑戦者であった改進党系は、それらと肩を並べる勢力にも、それらより進歩的であり続ける勢力にも、なれなかったという面もあると言える。よって、改進党系、新民党、実業派の合流を軸とする再編が、自由党系と一定の差異があり、政権交代可能な大政党の誕生の、カギを握っていたのだと言える。もちろん、産業構造等が一夜にしては変化するという事はないから、市部や、政党に属さない実業家の声を、市部を中心的な地盤とするわけではない(そのような傾向を弱めていた)憲政本党(改進党系)の主張とどう合わせるかということも、潜在的な課題であった。憲政本党の第2党の地位は、大同倶楽部から離脱者が続出した事(第10回総選挙以前)、そして何より、大同倶楽部の選挙での弱さ(再編で膨らんだ議席を維持するほどの候補者を擁立しない、できない点も含めて)から、再び安泰になったと見る事ができる(そもそも揺らいでいなかったと捉える方が正しいのかも知れないが)。しかし第3会派以下が憲政本党抜きにまとまれば、あるいは同党の一部のみを含む形でまとまれば、憲政本党の本流が(一時的に)第3会派以下(もしかすると第3党以下)に転落する可能性はまだあった。

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