日本人はなぜ政権を選び取ることができないのか、考え、論じる
 
野党再編・新民党・実業派の動き(⑤)~相容れない又新会と戊申倶楽部①~

野党再編・新民党・実業派の動き(⑤)~相容れない又新会と戊申倶楽部①~

国債の利子所得税免除に関する法律案については、投票していない議員も多いものの、憲政本党と又新会は反対をした(『帝国議会衆議院議事速記録』二三290-291頁に、第2読会を開くべきかを問う記名投票の結果が記されている)。又新会の高木正年は、この免除よりも、産業振興等に財源を用いることで財政を強固にすべきだとし(同287-288頁。金融機関や投資家よりも商工業者を重視して欲しいという事も当然あるだろう)、同派の石橋為之助は、公債の価格維持に重心を置き過ぎて、財政再建自体が軽視されているという事を指摘した(同288-289頁)。この際石橋が、賛成の立場から発言した戊申倶楽部の岩下淸周を、「桂内閣ノ財政上ノ御師匠サン」と皮肉っていることが、又新会と戊申倶楽部の相容れない関係性を示しているようで興味深い。

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