日本人はなぜ政権を選び取ることができないのか、考え、論じる
 
新民党・実業派の動き(⑨)~生産者か消費者か~

新民党・実業派の動き(⑨)~生産者か消費者か~

第26回帝国議会では関税定率法輸入税法中改正法律案が成立した。これは、条約改正による関税自主権の完全回復を見込んで、関税を改めるものであった。米穀関税は、立憲政友会の主張の通り、引き上げられる修正が加えられた。一方で又新会の早速はコメ等の穀物の関税を引き上げることに反対し、飲食物、輸入に頼らなければならない原料である原油等の関税を引き下げる修正案を出した(『帝国議会衆議院議事速記録』二四305~319頁)。委員会での発言や他の史料を見ても、又新会の議員は大方反対であったと考えられる(浅野陽吉も穀物に付いて同様の主張をしている-『帝國議會衆議院委員會議録』第5類第32号第2回3頁-)。又新会は当時、各消費税等の税負担が引き上げられていた中で、消費者の立場に立ち得る勢力であったと言える。原料等についてはもちろん、余力の比較的小さい中小の商工業者(実業家)の立場に立つものでもあった。なお、又新会の石橋為之助と戊申俱楽部の清水市太郎は、マッチの原料の関税のクロールを、立憲政友会が無税から5%に修正したことに反対した(輸出する際に不利になるため。同第4号第12回144頁、『帝国議会衆議院議事速記録』二四319頁)。

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