1-16民主党の成長と発育不全1.政権交代論

二院制の悪用回避~野田佳彦の正義~ →

問題続出の民主党政権であったが、筆者が高く評価していることに、野田内閣末期の、特例公債法案がある。予算案は衆議院の賛成だけあれば、時間はかかるものの成立する。しかし予算案の前提となる赤字国債の発行は、本来禁止されており、それを特例として認める法案も、内閣は成立させなければならない。その法案は通常の法案であるため、両院で可決されるか、衆議院の3分の2で再可決されなければ成立しない。だからねじれ国会になれば、野党であった民主党も、野党に転落した時の自民党も、その可決を阻むことで、与党に対抗しようとした。野田総理が、自公両党の協力を得て成立させた特例公債法案は、これを政争の具とすることを回避するため、2015年度までの赤字国債の発行を認めるものであった(これは踏襲され、2016~2020年度も発行が認められている)。

これについて評価したいのは、民主党から自民党に政権が変わることが予想され、民主党が半年先の2013年夏までは参議院で自民党を上回る議席を維持することが予想される中で、これを実現させたことである。確かに、政権に復帰した自公連立政権の足を引っ張るようなことをすれば、有権者に落第の判を押された民主党は、さらなる批判を受けていただろう。しかしそれでも、相手の得となる時に、これを実現させたことは、政権党を経験した民主党の成長として、大いに評価するべきである。

以前にも書いたが、総選挙は内閣が自らに有利な時に行うことが出来るのに対して、参院選の次期は、わずかに前後にずらす以上のことはできない。このために、衆議院の総選挙では与党が勝ち、参院選では野党が勝つという傾向が現れた。ねじれ国会がめずらしくなくなったのである。今は自民党がとても強いが、このような事態が再び起こる可能性は十分にある。

その時、野党はことごとく、自民党政権の政策を邪魔することが出来る(とくに自民党等の与党が衆議院で3分の2を下回っている場合は決定的である)。だが、このことを政権交代のバネにすることは問題だ。1党優位性を本当に終わらせるためには仕方がないとも、つい思ってしまうのであるが、そもそも衆議院の総選挙で野党が勝っても、参議院でそれまでの与党が多数のままであるという事態も考えられ、政権交代を失敗させる要因にも、参議院はなりかねない。そこで言われるのが、衆議院の権限を参議院のそれよりも強いものとする議会改革である(一院制にすべきだという意見もある)。これについては大いに議論するべきだ。

もう1つ民主党→民進党を評価したいのは、女性宮家の創設、女性天皇容認の立場を採ったことだ。このようなデリケートな問題を、政争の具にすることなく(これは当然と言えば当然だが)、しかし避けることもなく、左派政党としての、現実的な姿勢を明確にとったことには、大きな意味がある。