日本人はなぜ政権を選び取ることができないのか、考え、論じる
 
新民党(④)~政党化の是非③新民党(同志研究会系)~ 註

新民党(④)~政党化の是非③新民党(同志研究会系)~ 註

櫻井良樹氏の、蔵原惟郭(猶興会→又新会→無名会→立憲国民党→無所属団→立憲同志会衆議院議員)に関する研究(『大正政治史の出発』第3章)によって、又新会の蔵原の考えを理解できる。それは同志研究会系、その他の組織が集まった政界革新同志会自体がそうであったように、教化され、自治の精神を持った国民の団結によって立憲政治の実を上げ、それこそが国力を強化するという事、それにおいて先行しているという事でも、日本が東洋の指導者、擁護者であるべきだという事(≒対外強硬姿勢)だと思う。蔵原はそれと一体的なものとしても、男女平等を重視していた。衆議院議員としての具体例は主に以下である。自由競争がなく収賄の温床となっている国定教科書制度の廃止(106~107頁。内容についても時勢に逆行しているとした)、普通選挙、(107頁)、営業税に関する主張(同。医療品販売に対する営業税賦課について、欧米では社会政策の観点から病院や調剤所になるべく保護を与える事が大勢となっていると指摘をし、薬局、薬剤師への課税は適当ではないと反対)、日英博覧会でアイヌ人を見世物にしたのは人道上の大失態であったと指摘(110頁)。蔵原が桂新党に参加した事についても、ここで分析されている。それについては、次の第11章で確認したいと思う。

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