1-20期待の星、第3極の新党の問題点1.政権交代論

有力議員が少ない~敗者としての側面と、経験の不足~

新党はどこから現れるのか。よくあるのが、既成政党の分裂による新党の誕生である。既成政党と無関係に誕生するというパターンは、ミニ政党を除けば皆無である。

前者の場合、素晴らしい理念、政策を持っていたとしても、既成政党の党内では、それを広めることが出来なかったのだということになる。よりストレートに言えば、党内抗争に勝つ力は持っていなかったということになる。そのような勢力が、中型、あるいは小型の政党として、厳しい政治の世界で、自らの理念、政策を実現するのは、難しい。あるいは、それに挑み続ける根気を持っているということも、少ないと思われる。そのような面で、離党者達による新党が弱さを抱えていたことは、これまでの政党史を見れば、良く分かる。

既成政党とほぼ無関係の新党といえば、政界の外から、政治に飛び込んだ人物を中心としたものが想像されるし、過去に例もある。そのようなことを実現させる人物であるのだから、行動力があり、秀でた部分を持っているのは当然だ。しかし、規制政党を中心とした政治の政界で、彼が目標を達成することもまた、難しい。

実際には、既成政党と無関係の新党というのは、村後の日本では、比例代表制の部分、それも全国が1つの選挙区であるために、比較的少ない得票でも、1議席を得られる参議院のそれで、議席を得ようとしたミニ政党、個人の力でわずかな議席を得るミニ政党くらいしかない。

中間的なものとしては、以前政党に属していた議員が、中心となったもの、無所属の、地方自体の首長が中心となったものがある。前者は日本新党である。かつて自民党田中派の参議院議員、そして同党公認で当選した熊本県知事であったものの、地方分権等の改革を実現するために、党を離れた細川護熙が結成した。基本的に他のメンバーは、結成後の国政選挙で初当選した議員達であった。

後者は、日本維新の会である。自公両与党の支援を得て大阪府知事に当選した橋下徹が、自民党を離党した大阪府議達と結成した地域政党、大阪維新の会の、全国版である。これは他党の離党者によって形成されたとはいえ、既成政党の分派という面は小さい。

既成政党と無関係にできた。あるいはそれに近い新党には、少なくとも結成当初は、有力な議員が少ない。それが期待を集めもするのだが、人気だけですべてを乗り越えるのは、党首によほどの力がなければ難しい。

2005年の総選挙では、自民党に83名という大量の一年生議員が誕生した。総選挙前の自民党の議席数は、郵政反対派を党外に放出したため、かなり減って、過半数を約30議席下回っていた。そこで総選挙において圧勝したことにより、大量の1年生議員が誕生したのである。2009年の総選挙における民主党(国会議員初当選は139名)、2012年の総選挙における自民党(同116名)における増え幅は、それを遥かに超えており、3回連続で、大量の1年生議員が誕生することになった(2012年には、日本維新の会とみんなの党の躍進―国会議員初当選35名と12名―もあった)。

2012年の総選挙では、前回敗れた2005年当選の候補も一定数当選した。これ自体は良いことである。そのような議員がもっと多ければよかったのだが、31名にとどまり、初当選の議員約116名が後に「魔の二回生」と呼ばれる、一部とはいえ、次々と問題を起こした議員達である。今は自民党の連勝によって落ち着いているが、選挙のたびにあまりに多くの新人が当選することは、特に行政府に多くの議員を送る与党の場合、人材不足を深刻なものとしてしまう。

民主党でも、そして、歴史があり組織がしっかりしている自民党であっても、大量の新人議員には手を焼く。組織が未完成で、新人教育の仕組みが確立していない第3極の新党にとって、ブームで誕生した新人議員達の教育が、どれほど難しいことか、いや、そもそも候補者を選別することがどれほど難しいことか、察するに余りある(教育不要の人材を得ることも、当然容易ではない)。

補足すると、今の民進党系の有力議員には、日本新党で初当選した議員が多い(自民党にも多少いるし、小池百合子もそうである)。民進党系だから優秀なはずがないという人もいるであろうが、それは極端である。少なくとも、大きな、あるいは低レベルのスキャンダルも少なく、重要なポストに就いて、仕事をしている。彼らの多くは、既存の枠組みでは、つまり日本新党という新党が結成されて、そのブームが起こらなければ、政界に出ることは出来なかっただろう。新党ブームには、硬直化した人材供給システムに、新たな風を吹かせる機能がある。しかし同時に、今なら簡単に当選できるかもしれないと、ただステータスなどを求めて立候補する者も、少なからず現れる。

比較的安定しており、経験のある議員が多い大政党ならば、長期的に教育ができるし、淘汰も多少は進む。しかし新人、若手の比率が高くなりがちな新党では、多くの場合、新人議員達が大政党よりも重要なウエイトを締めざるを得ない。日本新党の議員達は、他党と合流して新進党を結成したこと、その前に一部が離党して新党さきがけ(若手が多かったが、日本新党の新人議員達よりは経験があった)に移ったことで、この問題をかなり軽減したと言える。しかし独自路線を採る場合にはどうしたら良いのだろうか。効果的な解決策は見出されていない。ただし、そのような解決策が重宝されるような、しょっちゅう新党ブームが起こる状況も困る。