日本人はなぜ政権を選び取ることができないのか、考え、論じる
 
政党史・政権交代論

他国の政党、政党史

◎注意事項

・日本との比較については、まずは項目を示すのであり、本文で比較したわけではない。

・『参考文献』「他国の政治、政治史、他国との比較に関するもの」に挙げた著書の他、小党、総選挙の結果については、英語版のWikipediaを参考にしている。

・国名の付いた政党名の場合、基本的には国名の部分を省略する(例:オーストリア社会党 → 社会党)。

・政党名の日本語訳はなるべく先例に倣うように記している。

・最近の欧米の変化については、こちらの図(2022年時点のもの)に表した。

 

◎イギリス

○特徴:2大政党制の傾向、2大政党の一方が、自由党から労働党(社民系)に交代。

○日本との比較

・2大政党制と、小選挙区制下の第2(1)党と3党の交代に関して。

・イギリスでは、スコットランド国民党という地域政党が、社民系の政党が強かった地域で台頭した。これは、維新の会という地域政党が、野党が強かった大阪で台頭した日本の、参考となり得るか(スコットランド国民党はスコットランドのイギリスからの独立を志向しているが、維新の会はそうではなく、全国政党化している)。

・民意に基づく政権交代の日本との比較は『政権交代論』「戦前の政権交代は順序が逆だった」参照。

 

◎アイルランド

○特徴:イデオロギー的な差異に乏しい2大政党。1党優位(1937年から2011年まで同一政党が第1党)。ただし非優位政党も第3極との連立で度々政権を担当。

○日本と比較

・1党優位と言える状況下でも政権交代が定着したアイルランドとそうでない日本。

・社民系の政党が小さいアイルランドと、社民系の政党が保守系に比して弱い日本。

・以前のアイルランドのように、積極財政志向の優位政党(過半数割れによる下野はある)に対抗する勢力が、自由主義的な第2党と社民系の第3党になると、政権交代が起こっても、連立政権が不安定になる。これは、自民党に対抗して左右の野党が存在する事が多い、冷戦後の日本の参考となり得るか。

 

◎スペイン

〇特徴:もともといくつもの王国に分かれていたことなどから、独立を志向する住民の多い州もある(バスク州、国内で最も豊かなカタルーニャ州)。政党も各地に分かれているかまとまりが弱く、これが進歩的な勢力の足かせになっていた。

○日本との比較

・かつての、地域のボスが仲介する前近代的な利益誘導政治、保守派と自由派ともし得る2大政党の談合的な政治・表面的な競争は、日本の政治の歩みを考える上で比較対象になるか。

・社民系中心の内閣への共産党の入閣は参考となるか(共産党の穏健化。社民系、そして国内全体の容認等についても)

 

◎ポルトガル

○特徴・日本との比較

・かつての、地域のボスが仲介する前近代的な利益誘導政治、2大政党の談合的な政治・表面的な競争は、日本の政治の歩みを考える上で比較対象となるか。

 

◎北欧諸国(現時点でデンマーク、スウェーデン、ノルウェーについて公開)

○特徴・・・5党制の伝統とさらなる多党化。社民系が優位にある多党制でありながら、左右の2ブロックが形成され、政権交代が定着。

○日本との比較

・多党制でありながら大まかには左右2つのブロックに事実上分かれている点で、小選挙区制下の多党化によって行き詰ったように見える日本の、参考になるか(ただしここで扱う北欧3国は、100年以上前に小選挙区制から比例代表制になっている)。

 

◎カナダ

○特徴

・地域的な差異が大きい。イギリス系とフランス系(ケベック州)の問題(≒集権か分権か)。西部の保守性。

・独立の経緯、英国重視か米国重視か、自由貿易か保護貿易か(第1次産業対第2、3次産業≒英国重視か米国重視か)という重要な対立軸があった事もあってか、社民系が弱い。そのかわり自由党に中道左派政党という面がある。

○日本との比較

・社民系の政党が小さいカナダと、社民系の政党が保守系に比して弱い日本(進歩保守党惨敗後は一時的に、第2党以下に地域政党が並ぶ状況となったが、自由党と保守党が第1、2党を占める状況になった―戻った―。その後2011年の総選挙のみ、社民系の新民主党が第2党になっている―自由党が惨敗して第3党に―)。

・進歩保守党の壊滅的敗北と再編は、日本の民主党系の再編を考える上で参考になるか。

(日本と比較をした図はこちら)

 

◎オーストラリア

○特徴:2大政党制に近い(自由党と国民党のように、一体的に行動している政党を一つの政党のように捉える場合。選挙制度は小選挙区移譲制)。

○日本との比較

・保守合同があっても社民系が強いオーストラリアと、社民系が万年野党となった日本。

・小選挙区制中心の選挙制度を採っていても野党が多党化する日本において、オーストラリアの小選挙区移譲制は状況を改善するための参考となるか。

 

◎ニュージーランド

○特徴:保守系と自由系の政党が合流。ただしオーストラリアと違って、労働党に壊滅的な敗北を喫してから。

○日本との比較

・比例代表制中心の選挙制度(小選挙区比例代表併用制)に移行しても2大政党制が比較的維持されているニュージーランドは、小選挙区制の性質を活かせていない日本(比例代表との並立制である事が要因の一つだと考えられる)の参考となるか(2大政党制を理想とするにしても、そうでないとしても)。

 

◎イタリア

○特徴:冷戦下は政権交代のない1党優位政党制であったが、政権交代が定着。ポピュリズム政党が強く、右派ポピュリズム政党の著しい躍進が見られる。

○日本との比較(『政権交代論』「日本と似ていたイタリア政治」参照)

・日本との類似点が非常に多い。政権交代の定着という+面と、右派ポピュリズム政党の躍進という負の面について、日本の参考となるか。

 

◎アメリカ

○特徴:大統領制、完全な2大政党制。

○日本との比較

・2大政党制であり、2大政党の差異が小さい事(それが問題だという指摘もあるし、もはや小さくないと見る事もできる)が、日本の保守2大政党制への移行の是非を考える参考になるか。

・民主党の対抗勢力がホイッグ党から共和党になった事は、第2党の交代を考える上で参考になるか(共和党に新勢力という面もあるという事を含めて)。

 

◎オーストリア

○特徴・日本との比較

・オーストリアは2大政党+右派ポピュリズム政党の3党制(左右の2大政党+中規模の右派ポピュリズム政党)であったが、右派ポピュリズム政党が2つの大政党と肩を並べるに近い状況となった。この点で、3極化が進み、右派ポピュリズム政党という面もある維新が躍進する日本にとって、オーストリアは参考になるか。

・1強2弱状態となっている日本は、オーストリアのように比例代表制にした方が民意がうまく反映されるか。

 

◎ドイツ

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