日本人はなぜ政権を選び取ることができないのか、考え、論じる
 
投稿者: <span>伊吹健</span>

実業派の動き・第3極(①②)~帝国財政革新会と中立実業派の性格~

第4回総選挙では、帝国財政革新会が東京府内の13の選挙区のうち5つの選挙区を制して5議席を得て、衆議院に進出した。府内の12の選挙区のうち、5つを制することは、議席ゼロの野党としては快挙だといえる。帝国財政革新会とは、大 …

第3極・実業派の動き(①②)~2つの実業派会派の誕生~

第4回総選挙の約3ヶ月前、1894年6月5日付の伊藤宛の書簡において伊東巳代治は、第3回総選挙における活動の不十分さを認め、第2次伊藤内閣寄りの中立議員を増やすことに意欲を見せている(『伊藤博文関係文書』二288頁)。そ …

第3極・実業派の動き・連結器(②)~2つの新党~

陸奥外交と対外硬派の主張の間を採るというのも難しく、異なる立場からの決議案や上奏案が次々出される中で、中立会派は姿勢を明確にすることを迫られた。そして長州閥伊藤系・自由党の側と、対外硬派の側に裂かれるだけに終わった。結成 …

第3極・実業派の動き・キャスティングボート(①③⑤)~中立派の投票行動~

自由党も対外硬派も過半数に届かなかったため、中立派が再びキャスティングボートを握るはずであったが、3会派が分立したことにより、その所在は不明確であった。中立3会派は、準与党、野党のいずれであるのか、全体としての姿勢を明確 …

第3極・実業派の動き(①)~伊藤が期待した実業派の浮上~

第3回総選挙後の中立派に関して、本章第3極・実業派の動き・1列の関係(①)で引用した文献に「実業」という言葉が出てきている。伊藤博文は、地租増徴に賛成する実業派の増加に期待して、後に衆議院の選挙制度を、市部を独立選挙区と …

第3極・実業派の動き(①)~新たな中立派の出所Ⅱ~

国民協会と政務調査所の議員の選挙区の少なくない一部が、自由党等に奪われたことはすでに確認した。しかし中立会派(総選挙の時は未結成)、無所属に奪われた議席は必ずしも多いとはいえない。中立会派の議員達は全体的に見て、どの勢力 …

第3極・実業派の動き・1列の関係(①)~長州閥伊藤系と第3回総選挙~

自由党と新たな中立派が増えた要因の1つに、第2次伊藤内閣の姿勢があると考えられる。同内閣は自由党と接近し、対外硬派の色を強めて野党となった国民協会と対立した。そして、衆議院の過半数を上回っていた対外硬派を弱めるために行わ …

第3極・1列の関係(①)~新たな中立派の出所Ⅰ、自由党の躍進~

新たな中立派がなぜ現れたのかを探るため、まずどの選挙区で、どの勢力に代わって現れたのかを見てみる。第3回総選挙へとつながる、第5回帝国議会における衆議院の解散当日の、国民協会、政務調査属所所属議員の選挙区における、第3回 …

第3極・実業派の動き(①)~第3極・中立派の交代~

第3回総選挙は事実上、第2次伊藤内閣寄りの勢力、つまり政界縦断支持派・同容認派と、対外硬派との戦いであった。既存の勢力は皆、このいずれかに属し、中立といえる勢力は、衆議院にほとんど存在しなかった(多く見ても実業団体、大阪 …

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