日本人はなぜ政権を選び取ることができないのか、考え、論じる
 
カテゴリー: <span>未分類</span>

新与党の分裂(②③)~優位勢力に対抗するための合流~

憲政党が分裂したのは、その結成が、優位勢力であった薩長閥への対抗のための、政策的な背景にも乏しい、無理な合流によるものであったからだ。ここにはすでに、政権交代が起こりにくい日本における、政治体制を超えた野党の弱点が示され …

連結器・第3極(②③)~大憲政党の中の第3極~

憲政党の結成に、第3極から参加した議員達は、その内部の自由党系と進歩党系の対立を、和らげようと動いた。10月19日、同志倶楽部出身者、山下倶楽部出身者などが、憲政倶楽部を結成した。このことを報じた10月21日付の読売新聞 …

第3極(②③⑦)~第3極の諸勢力~

当時、第3極としては、長州閥山県系、薩摩閥系、実業派、他の中立派、新民党があった。このうち新民党は、キャスティングボートを握れなくとも、民党間の連結器として、一定の存在意義を持ち得た。長州閥山県系も、政権を目指すことを最 …

1列の関係(②③)~改進党系の弱さ~

改進党系には、自由党系の憲政党離脱以前から、いずれ自由党系を排除しようという考えがあった(那須宏『帝国主義成立期の天皇制』219頁)。しかし、結局は尾崎の演説を利用され、自由党系による1列の関係の再現を許したのである。星 …

帝政ドイツとの差異(②③)~利用される、野党間の対立~

議院内閣制を採らない立憲君主制における問題点について考えるための参考に、事情は異なるが、ドイツ帝国の例を挙げたい。各政党が自らの支持層の利益を実現するためには、他党の議席を削って躍進する必要があるため(あるいは少なくとも …

2大民党制(②③)~克服が困難な構造~

政権獲得という目標を果たした民党は、急速に一体性を失った。それは衆議院、その総選挙において敵となり得る勢力がなく、政府(薩長閥)という敵が、自らが政権の担い手となることで消えたからである(閣内に薩長閥の軍部大臣がいたから …

第3極(①)~山下倶楽部の民党への影響~

第6回総選挙では、2大民党が合流した憲政党が、定数300のうち、263もの議席を得た。非憲政党は、国民協会の20議席と、憲政党に参加しなかった山下倶楽部系を含む、無所属の17議席のみであった。憲政党に勢いがあったことに変 …

1党優位の傾向(①)~1党優位の一つの弊害~

分裂前の憲政党は、確かに圧倒的な優位政党であった。しかしそれは衆議院におけるものであり、貴族院において同党を支持する議員は少数派であったし、閣内にも、彼らと対抗関係にある、薩長閥の軍部大臣を抱えざるを得なかった。多元的な …

新与党の分裂(⑨⑩)~万年野党の政権獲得と増税、官僚~

井上馨は民党に政権を渡すことを提案した。伊藤は実際に民党に政権を渡した。そこには「どうせもたないから一度やらせてみよう」という、後に自由民主党が政権を明け渡す時(1993年、2009年)にも、一部に聞かれた考えもあった( …

2大政党の合流・野党再編(⑧)~無理な合流~

自由党系と改進党系の全面的な合流は、この憲政党の結成と、翼賛体制下の会派等の結成、1955年の自由民主党の結成以外に例がない。3つの例があるということは当然、元通りになるか、それに近い形で、2回分裂しているということであ …

Translate »